ID番号 | : | 09161 |
事件名 | : | 遺族補償年金等不支給決定処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 地公災基金大阪府支部長(市立中学校教諭)事件 |
争点 | : | 地公災法が夫に遺族補償年金受給を認めていないことの違法性が問われた事案(労働者敗訴) |
事案概要 | : | (1) X(原告・被控訴人・上告人)の妻(地方公務員)が、公務により精神障害を発症し、自殺したため、Xが地方公務員災害補償基金大阪府支部長(以下「処分行政庁」という。)に対し、地公災法32条1項に基づき、遺族補償年金の支給請求をするとともに、地公災法47条1項2号の福祉事業として支給される遺族特別支給金、遺族特別援護金及び遺族特別給付金の支給申請をしたところ、処分行政庁から、いずれも不支給とする旨の決定(本件各不支給決定)を受けたため、XがY(被告、控訴人、被上告人)に対して上記処分の取消しを求める事案である。 (2) 大阪地裁は、Xの請求を全部認容し、本件各不支給決定を取り消し、Yが控訴したところ、大阪高裁は、本件各不支給決定に違法性はないとして、Xの請求をいずれも棄却した。 |
参照法条 | : | 日本国憲法14条 日本国憲法条25条 地方公務員災害補償法32条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険/労災保険の適用/(5) 配偶者 |
裁判年月日 | : | 2017年3月21日 |
裁判所名 | : | 最高裁第三小法廷 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成27年(行ツ)375号 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 裁判所時報1672号3頁 判例時報2341号65頁 判例タイムズ1439号70頁 金融法務事情2072号97頁 労働判例1162号5頁 判例地方自治421号67頁 |
審級関係 | : | 確定 |
評釈論文 | : | 松本和彦・月刊法学教室442号124頁 信澤久美子・判例地方自治422号106~109頁 稲森公嘉・論究ジュリスト22号180~187頁 濵口晶子・法学セミナー62巻8号116頁 西出恭子・LIBRA17巻8号34~35頁 倉田原志・判例評論714号(判例時報2371)148~153頁 |
判決理由 | : | :〔労災補償・労災保険/労災保険の適用/(5) 配偶者(新設)〕 「地方公務員災害補償法の遺族補償年金につき、死亡した職員の妻については、当該妻が一定の年齢に達していることは受給の要件とされていないにもかかわらず、死亡した職員の夫については、当該職員の死亡の当時、当該夫が一定の年齢に達していることを受給の要件とする旨を定めている同法三二条一項ただし書及び附則七条の二第二項の各規定が、憲法一四条一項に違反する旨をいう。 しかしながら、地方公務員災害補償法の定める遺族補償年金制度は、憲法二五条の趣旨を実現するために設けられた社会保障の性格を有する制度というべきところ、その受給の要件を定める地方公務員災害補償法三二条一項ただし書の規定は、妻以外の遺族について一定の年齢に達していることを受給の要件としているが、男女間における生産年齢人口に占める労働力人口の割合の違い、平均的な賃金額の格差及び一般的な雇用形態の違い等からうかがえる妻の置かれている社会的状況に鑑み、妻について一定の年齢に達していることを受給の要件としないことは、Xに対する不支給処分が行われた当時においても合理的な理由を欠くものということはできない。したがって、地方公務員災害補償法三二条一項ただし書及び附則七条の二第二項のうち、死亡した職員の夫について、当該職員の死亡の当時一定の年齢に達していることを受給の要件としている部分が憲法一四条一項に違反するということはできない。」 |