ID番号 | : | 09170 |
事件名 | : | じん肺管理区分決定処分取消等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 国・福岡労働局長(じん肺)事件 |
争点 | : | 遺族によるじん肺管理区分決定処分取消請求の訴えの利益の有無が問われた事案(労働者勝訴) |
事案概要 | : | (1) 建物の設備管理等の作業に従事する労働者であった亡Aが、福岡労働局長に対し、じん肺法15条1項に基づいてじん肺管理区分の決定の申請をしたところ、管理一に該当する旨の決定(以下「本件決定」という。)を受けたため、じん肺健康診断の結果によれば管理四に該当するとして、国(被告、控訴人、被上告人)を相手に、その取消し等を求めた事案であり、亡Aが本件訴訟の第一審口頭弁論終結後に死亡したことから、原審において、同人の妻及び子であるXら(上告人ら)が相続により本件訴訟における亡Aの地位を承継したと主張して訴訟承継の申立てをし、その成否が争点となっている。 (2) 福岡地裁は、亡Aが管理二以上に該当するとして、本件決定を取り消し、国家賠償請求を棄却したところ、Yが控訴し、その後、Xらが亡Aの地位を承継したと主張し、訴訟承継の申立てをしたところ、福岡高裁は、じん肺管理区分の決定を受けるという労働者等の地位は、当該労働者等に固有のものであり、一身専属的なものであると解されるから、Xらが亡Aの相続人としてこれを承継することはできず、本件訴訟は亡Aの死亡により当然に終了すると判断し、第一審判決(ただし、国家賠償請求に関する部分を除く。)を取り消し、訴訟終了宣言をした。 |
参照法条 | : | 行政事件訴訟法7条 行政事件訴訟法9条 民事訴訟法124条 じん肺法4条 じん肺法13条 じん肺法23条 労働者災害補償保険法11条 労働者災害補償保険法13条 労働基準法施行規則35条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険/審査請求・行政訴訟/(9) 遺族の原告適格 |
裁判年月日 | : | 2017年4月6日 |
裁判所名 | : | 最高裁第一小法廷 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成27年(行ヒ)349号 |
裁判結果 | : | 一部破棄差戻し |
出典 | : | 最高裁判所民事判例集71巻4号637頁 訟務月報63巻9号2105頁 裁判所時報1673号1頁 判例時報2355号3頁 判例タイムズ1444号97頁 労働経済判例速報2322号3頁 |
審級関係 | : | 差戻し |
評釈論文 | : | 小西康之・ジュリスト1508号4〜5頁 深澤龍一郎・月刊法学教室443号138頁 平越格・労働経済判例速報2322号2頁 林史高・ジュリスト1515号90〜95頁 柳澤旭・山口経済学雑誌66巻1・2号109〜129頁 加藤智章・民商法雑誌154巻2号75〜87頁 |
判決理由 | : | :〔労災補償・労災保険/審査請求・行政訴訟/(9) 遺族の原告適格〕 管理一に該当する旨の決定を受けた労働者等が当該決定の取消しを求める訴訟の係属中に死亡した場合には、当該訴訟は、当該労働者等の死亡によって当然に終了するものではなく、当該労働者等のじん肺に係る未支給の労災保険給付を請求することができる労災保険法11条1項所定の遺族においてこれを承継すべきものと解するのが相当である。 Xらが亡Aの死亡の当時同人と生計を同じくしていたのであれば労災保険法11条1項所定の遺族に該当するものとしてこれを承継することになり、以上と異なる原審の前記判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、Xらが労災保険法11条1項所定の遺族に該当するか否か等について、更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととする。 |