全 情 報

ID番号 09172
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 日本コクレア事件
争点 勤務態度不良による解雇の有効性が問われた事案(労働者敗訴)
事案概要 人工内耳システムの輸入・販売及びサービス業などを営む株式会社Yとの間で労働契約を締結していたX(原告)が、Yから解雇されたところ、当該解雇は無効であると主張して、Yに対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、当該解雇日以降の賃金の支払を求める事案である。
参照法条 労働契約法16条
体系項目 解雇(民事)/解雇権の濫用
解雇(民事)/解雇事由/(2) 勤務成績不良・勤務態度
裁判年月日 2017年4月19日
裁判所名 東京地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成27年(ワ)6804号
裁判結果 一部棄却、一部却下
出典 労働判例1166号82頁
審級関係 確定
評釈論文
判決理由 :〔解雇(民事)/解雇権の濫用〕
〔解雇(民事)/解雇事由/(2) 勤務成績不良・勤務態度〕
 Yのマーケティング部では、Yの製品やYブランド向上のためマーケティング・コミュニケーションを運営し、インターネット等のデジタル戦略及びデジタル活動の立案、実行及び管理を支援することなどであり、本社とのやり取り等も多いことから英語でのコミュニケーション能力等も求められており、Xは、マーティング部のマーケティング&デジタル・コミュニケーションズ・スペシャリストの職位の募集に対して応募をし、同月頃、YのE副社長と面接をし、その後、本社の採用担当者及びYのF社長と面接をした上、同年10月1日、Yとの間で労働契約を締結し、同月15日からマーケティング&デジタル・コミュニケーションズ・スペシャリストの職位として勤務することとなった。
 Xは、使用者が従業員に対して通常求める姿勢である、上司の指示、指導等に素直に耳を傾け、上司の意見を取り入れながら円滑な職場環境の醸成に努力するなどといった点に欠ける面が顕著であるといえ、再三のYからの指示、指導及び警告にかかわらず一向に改善の意欲も認められないことからすれば、XとYとの労働契約における信頼関係は、本件解雇時点においてもはや回復困難な程度に破壊されていると評価せざるを得ず、Y就業規則所定の「従業員の就業態度もしくは能率が、会社にとって著しく不適当であると認められた場合」に該当する者と認められ、本件解雇は無効であるとは言えない。