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ID番号 09177
事件名 未払賃金等請求事件
いわゆる事件名 東京エムケイ(未払賃金等)事件
争点 タクシー運転手の割増賃金請求の成否が問われた事案(労働者一部勝訴)
事案概要 (1) Y(被告)においてタクシー乗務員として勤務していたX(原告)らが、未払の割増賃金や賃金計算上不当に控除された金額があるため、Xらに支給されるべき賃金はより多額であると主張して、労働契約に基づく未払賃金又は不法行為に基づく損害賠償の選択的請求、労基法114条に基づく未払の割増賃金と同額の付加金の支払を求める事案である。。
参照法条 労基法37条
労働契約法7条
体系項目 賃金(民事)/割増賃金/(3) 割増賃金の算定方法
裁判年月日 2017年5月15日
裁判所名 東京地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成25年(ワ)21715号/平成25年(ワ)21490号/平成25年(ワ)25489号/平成25年(ワ)26563号/平成25年(ワ)27917号/平成25年(ワ)27919号/平成25年(ワ)28375号/平成25年(ワ)29700号/平成25年(ワ)31776号/平成26年(ワ)1624号/平成26年(ワ)2935号/平成27年(ワ)6632号
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 労働判例1184号50頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 :〔賃金(民事)/割増賃金/(3) 割増賃金の算定方法〕
 教習期間中のYにおける教習手当は、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外の割増賃金に当たる部分とを判別することが可能であり、時間外手当部分が、何時間分の時間外労働の労基法37条の定める割増賃金に相当するかについても把握することができる。したがって、教習手当に含まれる固定残業代の定めは有効であり、教習期間中のXらの割増賃金の計算の基礎賃金の額は、教習手当中の基本給部分の額である。
 固定給給与規程が労基署に届け出られた平成25年5月21日以前においては、固定給給与規程又は届出前固定給給与規程(以下両者を併せて「固定給給与規程等」という。)のいずれについても就業規則として労働者への実質的周知がされていたということはできないから、その合理性について検討するまでもなく、固定給給与規程は労働契約規律効を有しない。固定給のXらはいずれも同日以前に入社した者であるから、固定給のXらが労働契約を締結した各時点において、就業規則の労働契約規律効により固定給給与規程が固定給のXらの労働契約の内容となったと認めることはできない。固定給のXらに支払われるべき割増賃金を労基法37条等に定められた方法により算定すると、固定給の原告らに割増賃金として支払われた金額であると認めることができるのは、公出手当(給与明細上「休日労働手当」の名称が用いられている場合を含む。以下同じ。)のみであるから、公出手当の金額が労基法37条等に定められた方法により算定した割増賃金を下回る差額部分について、Yは固定給のXらに対し、未払賃金として支払う義務を負う。