ID番号 | : | 09187 |
事件名 | : | 損害賠償請求本訴事件(1802号)、損害賠償請求反訴事件(4485号) |
いわゆる事件名 | : | プロシード元従業員事件 |
争点 | : | 虚偽の理由により退職したとして会社による元社員への損害賠償請求の可否が争われた事案(労働者勝訴) |
事案概要 | : | コンピュータのソフト・ハードウェアの設計・製造・販売等を目的とするX(原告)が、Xに勤務していたY(被告)が躁うつ病という虚偽の事実をねつ造して退職し、就業規則に違反して業務の引継ぎをしなかったことが不法行為に当たるなどと主張して、Yに対し、不法行為に基づき、1270万5144円の損害賠償の支払を求め、反訴として、YがXおよびその代表取締役によるYへの退職妨害や本件訴訟の準備書面による人格攻撃が不法行為等にあたるとして330万円の損害賠償の支払いを求めた事案である。 |
参照法条 | : | 民法709条 民法710条 会社法350条 民事訴訟法135条 労働契約法5条 |
体系項目 | : | 労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(22)労働者の損害賠償義務 労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償 |
裁判年月日 | : | 2017年3月30日 |
裁判所名 | : | 横浜地裁 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成27年(ワ)1802号/平成27年(ワ)4485号 |
裁判結果 | : | 棄却(1802号)、一部認容、一部棄却(4485号) |
出典 | : | 判例タイムズ1443号222頁 労働判例1159号5頁 労働経済判例速報2329号31頁 |
審級関係 | : | 控訴 |
評釈論文 | : | 原昌登(東京大学労働法研究会)・ジュリスト1517号118~121頁2018年4月 河津博史・銀行法務2162巻5号67頁2018年4月 |
判決理由 | : | 〔労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(22)労働者の損害賠償義務〕 Yは、X代表者らと退職の話をし始めた時点で既に不安抑うつ状態にあったものと窺われるところ、不安抑うつ状態にあった者が躁うつ病である旨を述べたとしても、それが虚偽のものであるとはいい難く、X主張のYの不法行為及びそれによるXの損害は、いずれも認めることができず、Xの本訴請求には理由がない。 〔労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償〕 訴えの提起は、提訴者が当該訴訟において主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものである上、同人がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たのにあえて提起したなど、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合に限り、相手方に対する違法な行為となる。 X主張のYの不法行為に基づく損害賠償請求権は、事実的、法律的根拠を欠くものというべきであるし、X主張のYの不法行為によってX主張の損害が生じ得ないことは、通常人であれば容易にそのことを知り得たと認めるのが相当であり、それにもかかわらず、Yの月収の5年分以上に相当する約1270万円もの大金の賠償を請求することは、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くというべきであり、Yに対する違法な行為となる。その他のYの請求については理由がない。 |