全 情 報

ID番号 09202
事件名 公務外認定処分取消請求事件
いわゆる事件名 地方公務員災害補償基金愛知県支部長(県立商業高校教諭)事件
争点 業務中にくも膜下出血で死亡した高校教諭の業務起因性が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 A商業高校で教諭として勤務していた訴外甲が死亡したことについて、訴外甲の父X(原告)が、地方公務員災害補償基金愛知県支部長に対し、訴外甲の死亡はA商業高校における過重な公務に起因すると主張して、地方公務員災害補償法(以下「地公災法」という。)に基づく公務災害認定請求をしたところ、同支部長から、平成24年1月12日付けで、訴外甲の死亡を公務外の災害と認定する処分(以下「本件処分」という。)を受けたため、Xが、Y(国、被告)に対し、本件処分の取消しを求める事案である。
参照法条 労働者災害補償保険法13条
地方公務員災害補償法31条
体系項目 労災補償・労災保険/業務上・外認定/(2) 業務起因性
裁判年月日 2017年3月1日
裁判所名 名古屋地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成26年(行ウ)16号
裁判結果 認容
出典 労働判例1159号67頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険/業務上・外認定/(2) 業務起因性〕
 訴外甲はA商業高校第6棟2階のコンピューター実習室において仰向けに倒れていたところを巡回中の警備員に発見され、A市民病院に搬送されたが、一度も意識が戻らないまま死亡し、死亡原因は、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血(以下「本件疾病」という。)と判断された。
本件疾病の発症による訴外甲の死亡につき、訴外甲が日常的に従事していた担当授業、情報処理部の顧問、分掌校務に関する職務は、程度の差はあれいずれも強い精神的負荷を伴うものであったといえることに加え、特に、平成21年9月については、情報処理検定の受検指導や一日体験入学の準備作業等のため、物理的のみならず精神的にも更に強い負荷がかかるものであったと認められる、訴外甲が本件疾病の発症前の1か月間に従事していた職務は特に過重なものであったと認められるのに対し、この職務のほかに、上記発症の危険性が切迫していたことをうかがわせるような要因を認めることはできず、本件疾病の発症及び訴外甲の死亡と公務との間には相当因果関係があり、公務起因性を認めるのが相当である。