ID番号 | : | 09208 |
事件名 | : | 賃金支払請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 国際自動車(第2・歩合給等)事件 |
争点 | : | 歩合給から割増金を控除する賃金規定の適法性が問われた事案(労働者敗訴) |
事案概要 | : | (1) タクシー会社であるY(被告、被控訴人)との間で労働契約を締結し、タクシー乗務員として稼働していたX(原告、控訴人ら)が、Yの就業規則の一部であるタクシー乗務員賃金規則(Y賃金規則」)において、歩合給の算出に当たり、労働者の所定内及び公出(所定乗務日数を超える出勤をいう。以下同じ。)の揚高を基にして計算した金額から割増金(深夜手当、残業手当及び公出手当の合計をいう。以下同じ。)及び交通費相当額を控除する旨の定め(以下「本件規定」という。)が37条の規定の趣旨を没却するものであるから同条及び公序良俗(民法90条)に反し無効であり、本来支払われるべき歩合給はより多額であると主張して、未払割増賃金、遅延損害金、付加金を求めた事案である。 (2) 東京地裁は、本件規定が労働基準法37条の趣旨及び公序良俗に反するものではなく、無効であるとは認められないから、Xらによる未払歩合給の支払請求は理由がない等としてXらの本件各請求をいずれも棄却した。Xらは、これを不服として本件各控訴を提起した。 |
参照法条 | : | 労働基準法27条 労働基準法37条 |
体系項目 | : | 賃金(民事)/出来高払いの保障給・歩合給 賃金(民事)/割増賃金/(3) 割増賃金の算定方法 |
裁判年月日 | : | 2018年1月18日 |
裁判所名 | : | 東京高裁 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成28年(ネ)2560号 |
裁判結果 | : | 控訴棄却 |
出典 | : | 労働判例1177号75頁 労働経済判例速報2341号16頁 |
審級関係 | : | 上告、上告受理申立て |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金(民事)/出来高払いの保障給・歩合給〕 歩合給の内容が、最低賃金法(昭和34年法律第137号)4条及び同法施行規則(昭和34年労働省令第16号)2条1項5号により時給換算した額が最低賃金額に満たないときは、その限度で無効とされることがあるが、これらを除けば、歩合給制の下で、労働の成果の評価を踏まえた賃金の算出方式をどのように定めるかは、強行法規及び公序良俗に違反しない限り、当事者の自由であり、もっぱら労使自治に委ねられるべきである。 〔賃金(民事)/割増賃金/(3) 割増賃金の算定方法〕 労働基準法37条は、労働契約における通常の労働時間の賃金をどのように定めるかについて特に規定をしていないことに鑑みると、労働契約において売上高等の一定割合に相当する金額から同条に定める割増賃金に相当する額を控除したものを通常の労働時間の賃金とする旨が定められていた場合に、当該定めが当然に同条の趣旨に反するものとして公序良俗に反し、無効であると解することはできないというべきであるから(最高裁平成27年(受)第1998号同29年2月28日第三小法廷判決・裁判所時報1671号59頁参照)、揚高を基に計算された「対象額A」から同条に定める割増賃金に相当する額及び交通費を控除したものを「歩合給(1)」とする旨の本件規定が同条の趣旨に反するものとして公序良俗に反し、無効であると解することはできない。 本件規定は労働基準法37条等に基づき支払うべき割増賃金はその全額を別途支払っていることからすると、本件規定が同条に違反するものとはいえない。このほか、本件規定が労働基準法27条等、歩合給について定めた法令等に反するものでもない。 |