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ID番号 09218
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 日本郵便(非正規格差)事件
争点 日本郵便の期間雇用社員と正社員との間の労働条件の相違の不合理性が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 原告Xらは、いずれも被告Y(日本郵便)との間で期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)を締結しているが、Yにおいては、有期労働契約を締結している従業員(期間雇用社員)と期間の定めのない労働契約(無期労働契約)を締結している従業員(正社員)との間で、労働契約に期間の定めがあることに関連して、手当等の支給について労働条件の相違があるが、この相違が労働契約法20条に違反するものである、また、同条施行前は同一労働同一賃金の原則に反するもので、公序良俗に反すると主張して、Xら期間雇用社員にも正社員の給与規定(本件規定)が適用される労働契約上の地位にあることの確認、差額賃金についての損害賠償を求めた事案である。
参照法条 民法709条
民事訴訟法134条
民事訴訟法135条
労働契約法20条
体系項目 労基法の基本原則(民事)/均等待遇/(14)短時間・有期雇用労働者と均等待遇
裁判年月日 2018年2月21日
裁判所名 大阪地判
裁判形式 判決
事件番号 平成26年(ワ)5967号
裁判結果 一部却下、一部認容、一部棄却
出典 判例タイムズ1455号142頁
労働判例1180号26頁
労働経済判例速報2338号3頁
労働法律旬報1912号58頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔労基法の基本原則(民事)/均等待遇/(14)短時間・有期雇用労働者と均等待遇〕
 「同一の使用者に雇用される無期契約労働者の中に、職務の内容等が異なる複数の職員群が存在する場合において…有期契約労働者の側において、必ずしも同一の使用者に雇用される無期契約労働者全体ではなく、そのうちの特定の職員群との間で労働条件に不合理な相違があるか否かを検討することも可能である」。もっとも「雇用関係が長期間継続することを前提として、将来従事する可能性があるであろう様々な職務や地位の内容等を踏まえて設定されている場合が多いと考えられるから、そのような場合に、単に現在従事している職務のみに基づいて比較対象者を限定することは妥当でなく、労働者が従事し得る部署や職務等の範囲が共通する一定の職員群を比較対照しなければならない」。
 「本件においては、Xらと、旧人事制度においては旧一般職全体、新人事制度においては新一般職とを比較対照するのが相当というべきある。」
 Yにおいては、正社員登用制度が存在するが、「同制度の存在により、正社員と期間雇用社員との地位が必ずしも固定的なものでないことは、労契法20条の不合理性の判断においても考慮すべき事情であるというべきである」。
 「Xらが労契法20条に違反すると主張する本件各手当のうち、年末年始勤務手当、住居手当及び扶養手当については、理由があるが、その余については理由がない」。