ID番号 | : | 09223 |
事件名 | : | 地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター事件 |
争点 | : | 転籍出向命令を拒否した労働者の懲戒解雇の適否が問われた事案(労働者勝訴) |
事案概要 | : | 被告Yの職員であった原告Xは、Yから独立行政法人A機構(以下「A機構」という。)への異動命令を拒否したことを理由として、平成28年4月27日付けで懲戒処分としての諭旨解雇とすること、同年5月11日までに辞職願を提出しなかった場合は、同月31日付けで懲戒解雇とする旨の通知を受け(以下「本件解雇」)、Xは同月11日までに辞職願を提出せず懲戒解雇されたため、XがYに対し、本件解雇は無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、本件解雇後の給与及び賞与並びにこれらに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。 |
参照法条 | : | 商法514条 労働契約法14条 労働契約法15条 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇/懲戒事由/(11) 業務命令拒否・違反 配転・出向・転籍・派遣/出向命令権の限界 |
裁判年月日 | : | 2018年3月7日 |
裁判所名 | : | 大阪地方裁判所 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成28年(ワ)7385号 |
裁判結果 | : | 一部認容、一部棄却 |
出典 | : | 判例時報2384号112頁 判例タイムズ1453号188頁 労働判例1177号5頁 |
審級関係 | : | 控訴 |
評釈論文 | : | 谷真介・季刊労働者の権利326号73~75頁 長谷川聡・労働法学研究会報70巻8号32~37頁 |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇/懲戒事由/(11) 業務命令拒否・違反〕 Yは慣行などに照らして本件人事異動は在籍出向であり、Xの同意は不要と主張するが、Aの独立行政法人化後はYと別法人であって、本件人事異動は転籍出向であるため、「Xの同意が必要であるところ、本件人事異動命令は、Xの同意を欠いており、その点において、無効であると解するのが相当である。そうすると、本件人事異動命令に応じなかったことを理由とする本件解雇については、懲戒解雇事由に該当する事実が認められず、その限りにおいて、無効なものである」。 〔配転・出向・転籍・派遣/出向命令権の限界〕 仮にYの主張どおり在籍出向だとしても、「Xの妻の病状は、相当に深刻なものであったといわざるを得ず…Xの妻は、本件人事異動を聞いて現にパニック状態となり、自殺未遂を起こすまでの状況に立ち至っており、原告が本件人事異動命令に従えば環境変化により重大な事態を引き起こす可能性も十分に想定し得たこと、Xの妻の主治医も…「治療環境としては居住地ならびに夫の職務や勤務地は現在の状況を維持するのが必須であると判断する。」旨の診断書を作成していること」、「本件人事異動は…ジョブローテーションの一環として定期的に行われるものであって、XをDセンターへ異動させることそのものに高度な必要性があったとまでは言い難いこと、以上の点を総合的に勘案すると、仮に、本件人事異動が在籍出向の性質を有するとしても、本件人事異動は、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、出向に係る権限を濫用したものと認めるのが相当である」。 |