ID番号 | : | 09229 |
事件名 | : | 地位確認等請求控訴事件(3951号)、各民訴法260条2項各申立事件(5299号、5333号) |
いわゆる事件名 | : | 協和海運ほか事件 |
争点 | : | 船舶会社の変更に伴う解雇有効性が問われた事案(労働者勝訴) |
事案概要 | : | (1) Y(被告、控訴人兼被控訴人)の従業員であったX(原告、被控訴人兼控訴人)ら11名が、〈1〉新Y(被告、被控訴人兼控訴人)に対し、新YがYの事業及び従業員を承継しながら、X12組合を脱退しなかったXら11名のみの採用を拒否したことについて、採用拒否は解雇と同視でき、解雇権の濫用があり無効であること、採用拒否が不当労働行為に当たり無効であること、船員法43条2項により雇用承継が認められることなどを主張して、雇用契約上の地位確認並びに遅延損害金の支払を、〈2〉Xら11名にのみ割増退職金を支払わなかったことが不当労働行為に当たると主張して、民法709条に基づき割増退職金相当の損害賠償及び遅延損害金の支払を、〈3〉Yらに対し、Y、Y代表であるY1及びY2がXら11名に対してX12の脱退勧奨を行ったことなどや新Yが一審原告ら11名の採用を拒否したこと、Y3がYの船員を代表してX12組合の脱退届を提出したことなどが不当労働行為に当たると主張して、Yに対しては民法709条、会社法350条に基づき、Y1、Y2及び被告Y3に対しては民法709条、会社法429条1項に基づき、新Yに対しては民法709条に基づき、連帯して慰謝料100万円及び遅延損害金の支払を求め、(2)X12組合が、Yらに対し、Yらの行った上記不当労働行為により無形の損害を被ったと主張して、Yに対しては民法709条、会社法350条に基づき、Y1、Y2及びY3に対しては民法709条、会社法429条1項に基づき、新Yに対しては民法709条に基づき、連帯して500万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。 (2)横浜地裁は、地位確認請求と未払賃金請求を認容、不法行為については一部認容したため、Xら、Yらともに敗訴部分につき不服として控訴した。控訴審においてXらは未払賃金につき定期昇給、定期昇進分等を見込んだ請求額に変更した。 |
参照法条 | : | 日本国憲法22条 日本国憲法28条 日本国憲法29条 日本国憲法81条 民事訴訟法260条 |
体系項目 | : | 解雇(民事)/解雇事由/(34) 船員の解雇 解雇(民事)/解雇事由/(32) 企業解散・事業の一部廃止・会社制度の変更 賃金(民事)/賃金請求権の発生/(2) 就労拒否 (業務命令拒否) と賃金請求権 |
裁判年月日 | : | 2018年4月25日 |
裁判所名 | : | 東京高裁 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成29年(ネ)3951号/平成29年(ネ)5299号/平成29年(ネ)5333号 |
裁判結果 | : | 原判決一部変更自判 |
出典 | : | 労働判例1193号5頁 |
審級関係 | : | 上告受理申立て(後、不受理) |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇(民事)/解雇事由/(34) 船員の解雇〕 〔解雇(民事)/解雇事由/(32) 企業解散・事業の一部廃止・会社制度の変更〕 「本件船舶は船員法1条1項の「日本船舶」に該当し、Xら11名は同項の「船員」に該当し、Yは同法5条1項の「船舶借入人」に該当する」。「新Yは、本件船舶のうちK2シップマネージメントが所有していた船舶について賃借していることから、船舶借入人の変更があったことになり、D組合が所有し、Yが賃借していた8隻については、D組合から譲渡を受けていることから、船舶借入人及び船舶所有者の変更があったことになり、いずれについてもYとXら11名の雇入契約は船員法43条1項によって終了する。そして、同条2項により、Xら11名と新しい船舶借入人及び船舶所有者である新Yとの間で、従前と同一条件での雇入契約があったものとみなされる」。「Xら11名は、新Yとの間で雇用契約上の権利を有する地位にあると認められる」。 〔賃金(民事)/賃金請求権の発生/(2) 就労拒否 (業務命令拒否) と賃金請求権〕 「船員法43条2項により、Xら11名は、新Yとの間で従前と同一の条件による雇入契約が擬制されるところ、新Yは、これを否定してXら11名の就労を拒絶しているから、民法536条2項により、Xら11名は、新Yに対する賃金請求権を失わない」。 〔労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償〕 「Y1及びY2は、少なくともX12から組合員を脱退させるべく説得を行ったことは明らかであり、脱退勧奨について認識及び認容があるといえるから、本件脱退勧奨は、労組法7条3号の支配介入に該当する行為といえる」。 |