ID番号 | : | 09245 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 東京都(君が代・再任用不合格等)事件 |
争点 | : | 国家斉唱命令違反者の定年後再任職員不合格判断の裁量権逸脱が問われた事案(労働者敗訴) |
事案概要 | : | (1) 東京都立高等学校の教職員であったX(原告、被控訴人、被上告人)ら又はその被承継人らは、その在職中、各所属校の卒業式又は入学式において国歌斉唱の際に国旗に向かって起立して斉唱することを命ずる旨の職務命令に従わなかったところ、東京都教育委員会(都教委)は、このことを理由として、東京都公立学校の再任用職員、再雇用職員又は非常勤教員(再任用職員等)の採用候補者選考において、上記の者らを不合格とし、又はその合格を取り消して、定年又は勧奨(定年等)による退職後に再任用職員等に採用しなかったため、都教委が上記の者らを不合格とし、又はその合格を取り消したこと(本件不合格等)について裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるなどとして、XらがY(東京都。被告、控訴人、上告人)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める事案である。 (2)東京地裁はXの請求を一部認容し、Yが控訴。東京高裁も、本件不合格等に係る都教委の判断は、客観的合理性及び社会的相当性を欠き、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用をしたものに当たるとして、Xの請求を一部認容。Yが上告。 |
参照法条 | : | 地方公務員法28条の4 地方公務員法28条の5 |
体系項目 | : | 〔労基法の基本原則(民事)/国に対する損害賠償請求〕 |
裁判年月日 | : | 2018年7月19日 |
裁判所名 | : | 最高裁第一小法廷 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成29年(受)842号 |
裁判結果 | : | 破棄自判 |
出典 | : | 最高裁判所裁判集民事259号43頁 裁判所時報1704号4頁 判例時報2396号55頁 判例タイムズ1456号51頁 労働判例1191号16頁 判例地方自治440号55頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 深澤龍一郎・月刊法学教室458号141頁 森口千弘・季刊教育法199号106~113頁 海道俊明・民商法雑誌155巻2号154~160頁 柿沼真利・法学セミナー64巻3号28~32頁 新谷眞人・労働法学研究会報70巻16号26~31頁 横山浩之(労働判例研究会)・法律時報91巻12号136~139頁 |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則(民事)/国に対する損害賠償請求〕 「任命権者である都教委が、再任用職員等の採用候補者選考に当たり、従前の勤務成績の内容として本件職務命令に違反したことをXらに不利益に考慮し、これを他の個別事情のいかんにかかわらず特に重視すべき要素であると評価し、そのような評価に基づいて本件不合格等の判断をすることが、その当時の再任用制度等の下において、著しく合理性を欠くものであったということはでき」ず、「本件不合格等は、いずれも、都教委の裁量権の範囲を超え又はこれを濫用したものとして違法であるとはいえない」。 |