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ID番号 09250
事件名 未払通勤手当等請求控訴事件
いわゆる事件名 九水運輸商事事件
争点 通勤手当について正社員非正社員間の格差の不合理性等が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 (1) Y(被告、控訴人兼被控訴人)との間で有期労働契約を締結して勤務する労働者であるX(原告、控訴人兼被控訴人)らが、(1)通勤手当が、無期労働契約をYと締結している労働者(正社員)の半額とされていること(本件相違)が、労働契約法20条の禁止する不合理な労働条件の相違に当たると主張して、ア 選択的に、労働契約又は不法行為に基づき、差額の支払を求め、イ 不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料5万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めるとともに、(2)Xらに対する皆勤手当を廃止する内容の就業規則の変更は無効であると主張して、労働契約に基づき、未払皆勤手当の支払を求めた事案である。
(2)福岡地裁小倉支部は、本件相違は、労働契約法20条の規定が適用される平成25年4月1日以降、同条に違反するが、本件改定によって解消されたとして、Xの請求を一部認容したが、XY双方とも敗訴部分について控訴した。
参照法条 労働契約法20条
体系項目 労基法の基本原則(民事)/均等待遇/(14)短時間・有期雇用労働者と均等待遇
労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償
就業規則(民事)/就業規則の一方的不利益変更/(3) 賃金・賞与
裁判年月日 2018年9月20日
裁判所名 福岡高裁
裁判形式 判決
事件番号 平成30年(ネ)179号
裁判結果 原判決一部変更
出典 労働判例1195号88頁
労働経済判例速報2378号3頁
審級関係 上告、上告受理申立て(平成31年3月6日 最二小決 棄却、不受理)
評釈論文
判決理由 〔労基法の基本原則(民事)/均等待遇/(14)短時間・有期雇用労働者と均等待遇〕
〔労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償〕
 「労働契約に期間の定めがあるか否かによって通勤に要する費用が異なるものではないこと、正社員とパート社員とで通勤に利用する交通手段に相違は認められず、パート社員の通勤時間や通勤経路が正社員のそれに比して短いといった事情がうかがわれないことを総合考慮すると、本件相違は労働契約法20条にいう不合理な労働条件に当たると解するのが相当である」。
〔就業規則(民事)/就業規則の一方的不利益変更/(3) 賃金・賞与〕
 「本件改定のうち皆勤手当の廃止に関する部分が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものであるということはできず、労働契約法10条にいう合理的なものに当たると認めることはできない」。