ID番号 | : | 09251 |
事件名 | : | 地位確認等請求事件(1583号)、賃金請求事件(334号) |
いわゆる事件名 | : | ベルコ事件 |
争点 | : | 代理店社員と本店との黙示の労働契約の成否などが問われた事案(労働者敗訴) |
事案概要 | : | 第1事件は、原告Xらが、主位的に、〈1〉冠婚葬祭互助会員の募集及び冠婚葬祭の請負等を主たる事業とする被告Yが商業使用人であるBに対してYの従業員を雇用することを委任し、Bが被告のために原告らと労働契約を締結したことによって当該労働契約の効果が被告に帰属した、仮にBが商業使用人でなく代理商であったとしても、予備的に、〈2〉XらとYとの間には黙示の合意による労働契約が成立している、〈3〉Yは代理商という法形式を濫用してBら代理商を意のままに支配しているからBが代理商であることを理由として使用者としての責任を免れることはできないと主張してYに対し、それぞれ労働契約上の地位確認を求めるほか、未払賃金の支払を求める事案である。 第2事件は、Xらが、上記〈1〉ないし〈3〉によりXらとYとの間にそれぞれ労働契約が成立しているところ、Yに対し各労働契約による賃金支払請求権に基づいて、それぞれ労働基準法37条所定の割増賃金を求めた事案である。 |
参照法条 | : | 会社法14条 会社法16条 会社法19条 労働契約法6条 労働基準法9条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事)/使用者/(3)法人格否認の法理と親子会社 労働契約(民事)/成立 |
裁判年月日 | : | 2018年9月28日 |
裁判所名 | : | 札幌地裁 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成27年(ワ)1583号/平成28年(ワ)334号 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例1188号5頁 労働法律旬報1937号52頁 |
審級関係 | : | 控訴 |
評釈論文 | : | 水町勇一郎・ジュリスト1526号4~5頁 野田進・労働判例1191号5~15頁 大山盛義・法律時報91巻5号161~164頁 小西康之・ジュリスト1532号103~106頁 小櫃吉高・LIBRA19巻5号48~49頁 矢野昌浩・法学セミナー64巻3号123頁 浜村彰・労働法律旬報1937号20~31頁 小川英郎・季刊労働者の権利331号125~129頁 |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則(民事)/使用者/(3)法人格否認の法理と親子会社〕 YはBとの間で、Yの冠婚葬祭の互助会員募集業務や互助会入会契約の締約代理業務を受託する旨の契約(代理店契約)及びYの運営する葬儀の役務提供に関する業務執行委託契約をそれぞれ締結し、上記各代理店契約は1年ごとに更新された。XらはBとの間で労働契約を締結し、1年間の期間の定めのある労働契約を締結し、1年ごとに更新されている。 「Bについては、業務の方針や成果に関しては細部にわたってYからの指示があり、これを拒否することは相当程度困難であった一方で、具体的な労務の遂行方法や労務の時間、場所については一定程度の裁量があったということができ、業務の代替性は乏しいものの、その業務を自己の計算によって行い、報酬額が労務の成果と対応しているものであり」、「Bは、Yに従属し、Yに使用されて労務を提供しているとはいえないから、BがYの使用人であるということはできない」。 〔労働契約(民事)/成立〕 「Xらの勤務時間、勤務場所及び勤務の具体的態様についての指揮命令は、葬儀場における一般的準則や葬儀施行の際の個別具体的な指示を除けば、ほぼBが行っており、Xらは、これに基づいてFA職の労務を提供していたとみるべきである。そして、その賃金の計算方法はBが定めており、社会保険料等の納付、所得税の源泉徴収といった労働者を使用する事業者が行うべき義務をBないし本件合同会社が履行していたのである。そうとすれば、Yが、Xらに対し、労務に関する指揮命令を行い、その対価として報酬を支払ったとみることはできないから、XらとYとの間で黙示の労働契約が成立したということはできない」。 |