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ID番号 09258
事件名 未払賃金等請求控訴、同附帯控訴事件不当労働行為再審査申立棄却命令取消事件
いわゆる事件名 国・中労委(明治〔昇格・昇給差別〕)事件
争点 組合員への昇格・昇給差別の有無が問われた事案(労働者敗訴)
事案概要 参加人の従業員で組織するC1労働組合の組合員であった32名が、参加人において、同32名が組合活動をしたことを理由として同人らの平成元年度から平成5年度までの昇格及び昇給について差別をし、その結果として本件組合の運営を支配又はこれに介入し、労働組合法7条1号及び3号に違反したとして、東京都労働委員会に救済を求める旨の申立てをしたのに対し、同申立てを却下又は棄却する旨の命令がされ、同32名のうち30名又はその承継人らが、これを不服として中央労働委員会に再審査の申立てをしたところ、同申立てをいずれも棄却する旨の命令がされたことから、同再審査申立人らの一部である原告Xらが、同命令の取消しを求める事案である。
参照法条 労働組合法7条
体系項目 労基法の基本原則(民事)/均等待遇/ (13)組合間差別
裁判年月日 2018年11月29日
裁判所名 東京地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成29年(行ウ)149号/平成29年(行ウ)375号
裁判結果 棄却
出典 労働判例1201号31頁
審級関係 控訴
評釈論文 道幸哲也・労働法律旬報1941号6~13頁2019年8月10日
判決理由 〔労基法の基本原則(民事)/均等待遇/ (13)組合間差別〕
 「参加人がある年の昇格等決定行為において不利益取扱いをした場合、その不利益取扱いの意図は、これに基づく翌年3月25日までの賃金支払によって具体的に実現されるのであるから、同不利益取扱い及びこれに基づく同日までの賃金支払は、継続して行われる一括して一個の行為とみるべきであり、同昇格等決定行為及びこれに基づく同日までの賃金支払は、「継続する行為」に当たるというべきである」。
 「これに対し、参加人がある年の昇格等決定行為において不利益取扱いをした場合であっても、翌年度以降における昇格等決定行為及びこれに基づく賃金支払は、その不利益取扱いとは別個に行われるものであって、不利益取扱いの意図が具体的に実現されたものとみることはできないこと、不利益取扱いについての基本的意思決定行為である昇格等決定行為がされてから翌年度の昇格等決定行為がされるまでには1年の間隔があること、複数の年度にまたがる昇格等決定行為及びこれに基づく賃金支払を継続して行われる一括して一個の行為とみた場合には、救済対象となる行為を際限なく遡ることが可能となり、除斥期間を定めた趣旨を没却することになりかねないことなどに照らし、複数の年度にまたがる昇格等決定行為及びこれに基づく賃金支払は、継続して行われる一括して一個の行為とみることはできず、「継続する行為」に当たるということはできない」。
 「以上によれば、本件救済申立てのうち、平成4年度以前の昇格等差別についての申立ては不適法であり、平成5年度の昇格等差別についての申立ては適法であるから、これと同旨の中央労働委員会の命令は相当である」。
 「本件では、平成3年度から平成5年度までの本件審理対象成績の決定行為について不当労働行為が成立するか否かを検討すべきところ、本件審理対象成績について、本件救済申立人らとその他集団等との間において有意な格差があるということはできないことは前判示のとおりである上、Xらの主張する者が本件救済申立人らの中でも特に低位な人事考課成績を与えられるべき顕著な組合活動を行っていたことを認めるに足りる証拠はないから、人事考課成績の理由とされた事実又は評価の誤りがあるとしても、それが参加人において組合活動を嫌悪したことに基づいて殊更に低い人事考課をした結果であると認めることはできない」。