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ID番号 09263
事件名 不当利得返還請求事件
いわゆる事件名 ベルコ(代理店代表社員)事件
争点 代理店が商業使用人にあたるかなどが問われた事案(労働者敗訴)
事案概要 原告Xが、Xと労働契約書を取り交わしていたN及びOが、実質的には冠婚葬祭互助会員の募集及び冠婚葬祭の請負等)を目的とする株式会社である被告Yの従業員であり、NらがXの従業員であることを前提としてXがYに支払ってきた保証金並びに本来Yが負担すべきであるにもかかわらずXが負担していた税金及び社会保険料相当額は被告の不当利得に当たるとして、Yに対し、不当利得返還請求権に基づき、上記保証金等相当額2338万3102円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。
参照法条 商法25条
会社法14条
会社法16条
体系項目 労基法の基本原則(民事)/労働者/(31)代理商・代理店
労働契約(民事)/成立
裁判年月日 2018年12月25日
裁判所名 札幌地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成27年(ワ)1598号
裁判結果 棄却
出典 労働判例1197号25頁
審級関係 控訴
評釈論文 高仲幸雄・労働法令通信2513号30~32頁
判決理由 〔労基法の基本原則(民事)/労働者/(31)代理商・代理店〕
〔労働契約(民事)/成立〕
 「Yは、Y事業の推進のため、代理店をYの支社の下に位置付けて、これらがYと一体的な組織であるかのように運用しようとし、代理店となる者に対しY所定の条件の代理店契約を締結させた上で、代理店の営業目標や代理店と従業員との雇用条件等についても方針を定め、それを支部長会議等の場を通じて相当程度強く代理店に指示するなどしていたことは否定し難い」。しかし、「その指示を受けていた原告は、被告と代理店契約を締結した上で本件業務を行い、被告の意向を踏まえつつも、原告自身の判断において従業員の採否や雇用条件の決定を行って」おり、「相当数の従業員を雇用した上で、従業員に対し各種指示を行って本件業務を行い、しかも、平成22年12月からは、本件業務を行うために原告会社を設立し、同社において確定申告を行って公租公課を負担していたのである。そうすると、XがYの指揮監督に従って本件業務を行っていたとみることは困難である」。
 「Xは、代理店契約上、本件業務を再委託することこそ禁止されていたものの、Xのみにより本件業務を遂行することは何ら予定されておらず、むしろ、基本的にはXが従業員を雇用して本件業務を行うことが予定されており、現に、XはNらを含む相当数の従業員を雇用して本件業務を遂行していたのであるから、業務の代替性があったといえる」。
 「XがYから支払を受ける本件業務の遂行の対価は、原告が互助会入会契約を獲得した数に応じて定まる募集手数料にその他の所定の手数料を加えた手数料であり、基本的にはXが獲得した互助会入会契約の数に応じて定まるものといえ、それ自体Xが提供する労務の時間や量と相関関係があるものではない」。「以上の事情に照らすと、Xは、代理店契約に基づき、独立した事業者として本件事業を行っていたとみるのが相当である」。
 「YとNらとの間に黙示の雇用契約が成立していたとは認められない」。