ID番号 | : | 09280 |
事件名 | : | 各地位確認等請求控訴事件(3371号)、民事訴訟法260条2項の申立事件(3973号) |
いわゆる事件名 | : | 国際自動車事件ほか(再雇用更新拒絶・本訴)事件 |
争点 | : | 有期雇用契約の更新についての合理的期待 |
事案概要 | : | (1) 一審被告会社(国際自動車事件ほか)との間で雇用契約を締結していたタクシー乗務員である一審原告ら12名について、一審被告会社は定年後の有期雇用契約を締結せず、又は雇止めをした。このため、一審原告らは、定年後の有期雇用契約を締結せず、又は同原告らを雇止めしたことにつき、客観的合理的理由が存在せず無効であるなどとして、雇用契約上の地位の確認を求めるとともに、雇用契約に基づき、上記再雇用拒否又は雇止めの日から本判決確定日までの賃金の支払等の支払を求めた。これに対し、一審被告会社は、定年後の再雇用について、原告ら所属の労働組合らとの間で労働者供給契約を締結し、これに基づいて同組合員の供給を受ける形でのみ行っており、定年後の有期雇用契約締結については一審被告会社が労働者供給の申込みを行うことが前提であり、これを行うか否かは一審被告会社の裁量に委ねられているので、供給される労働者には有期雇用契約の更新についての合理的期待が生じる余地がないなどと主張した事案である。 (2) 原判決は、一審原告らのうち7名について、75歳までの雇用契約更新に対する合理的期待を認め、雇用契約上の権利を有する地位の確認請求及び賃金等の支払請求を認めた。これに対し、一審原告、一審被告がともに控訴した。 (3)高裁判決は、地裁判決で 雇用契約上の権利を有する地位の確認請求及び賃金等の支払請求を認めた一審原告ら7名のうち、一審原告B については有期雇用契約の更新を認めず、それ以外の一審原告については、雇用契約上の権利を有する地位の確認請求及び賃金等の支払請求を認めた。 |
参照法条 | : | 民法709条 労働契約法19条 職業安定法44条 |
体系項目 | : | 退職/4 定年・再雇用 |
裁判年月日 | : | 平成31年2月13日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成30年(ネ)3371号/平成30年(ネ)3973号 |
裁判結果 | : | 原判決一部変更、一部棄却 |
出典 | : | 判例時報2444号60頁 労働判例1199号25頁 D1-Law.com判例体系 |
審級関係 | : | 上告、上告受理申立て |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔退職/4 定年・再雇用〕 (1) 確かに、労契法19条の適用がある場合には、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件での労働契約が成立することになるから、本件雇止め時に成立した有期労働契約はそれぞれ1年間のものとなるが、その際に成立した1年間の有期労働契約が終了する時点でも、当該第一審原告らが75歳を超えるまでは労契法19条が適用され、同条の要件を満たせば、更に1年間の有期労働契約が成立することになるというべきであり、本件においてはなお当該第一審原告らが有期雇用契約が更新されるものと期待することに合理的な理由があるというべきであり、また、本件雇止め時とは異なって第一審被告会社がこれを拒絶することについて客観的合理的な理由が生じるとは認められないから、労働契約上の地位及び賃金請求権が1年間を超えて認められないとする第一審被告会社の主張は採用することはできない。 (2) 第一審原告Bの欠勤が長期間に及ぶこと、欠勤は業務中の交通事故に起因する部分があるものの、その欠勤期間のうち上記事故に起因する療養のため労働できなかったと認められたのは、診療実日数の11日間にすぎないこと、本件雇止めの時点でも休業が続いている状況であったものであり、本件雇止め等の主要な動機が別件訴訟の提起にあると認められることを考慮しても、第一審被告会社が第一審原告Bを雇止めとすることについては客観的に合理的な理由があるということができ、同人については、有期雇用契約が更新されたとみなすことはできない。 |