ID番号 | : | 09306 |
事件名 | : | 労働契約上の地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | ユナイテッド・エアーラインズ(旧コンチネンタル・ミクロネシア)事件 |
争点 | : | 吸収合併に基づく整理解雇 |
事案概要 | : | (1) 本件は、(1)甲事件:グアム島に本社を置き国際旅客事業を業とするコンチネンタル・ミクロネシア・インク(以下「CMI」という。)に客室乗務員又は機内通訳(以下「FA」という。)として勤務し、解雇された原告A、B、C、Dが、同社を吸収合併した被告(ユナイテッド・エアーラインズ・インク)に対し、同解雇が無効であるとして、主位的に、労働契約に基づき労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、平成28年(2016年)6月から本判決確定の日まで、毎月25日限り、月額賃金、賞与、プロフィット・シェア(利益の一部を還元する制度に基づいて支給される金員)等の支払、予備的に、上記解雇が不法行為に当たるとして、不法行為による損害賠償請求の支払を求め、さらに、(2)乙事件:個人原告らが加入する労働組合である原告組合が、被告に対し、上記解雇が差別的な動機に基づく解雇であって違法であるとして、不法行為による損害賠償請求の支払を求めた事案である。 (2) 判決は、原告らの請求をいずれも棄却した。 |
参照法条 | : | 労働契約法16条 |
体系項目 | : | 解雇 (民事)/整理解雇/(1) 整理解雇の要件 |
裁判年月日 | : | 平成31年3月28日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成28年(ワ)第13290号/平成28年(ワ)第39766号 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例1213号31頁 労働経済判例速報2381号15頁 |
審級関係 | : | 控訴 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇 (民事)/整理解雇/(1) 整理解雇の要件〕 (1)日本-グアム便の旅客数が減少し、旧UAによる機材変更が影響して、日本-グアム便を運行する旧UAからCMIに委託される業務量が減少し、CMI成田ベース所属FAの担当すべき業務自体が大きく減少する中で、業務量に応じた効率的な人員体制とするため、CMIが成田ベースを閉鎖すると決断したことは、企業経営の観点から合理的な判断ということができ、その必要性も高度なものであったといえる。解雇回避努力義務という点でも、早期退職に伴う特別退職金の支払やFAの年収水準を維持した上での地上職への転換など、解雇により個人原告らに与える不利益を相当程度緩和する措置が執られ、可能な限りの解雇回避措置を講じているとみることができる。被解雇者選定の点では、成田ベースの閉鎖が前提となっているものであり、同ベース所属FA全員が該当するところ、早期退職又は地上職への転換に応じた者以外の全員が解雇されているから、選定の合理性も認められる。そして、CMIは、複数回にわたる団体交渉を通じて、原告組合に対し、成田ベース閉鎖の経緯及び必要性を説明するとともに、早期退職又は地上職への転換とその条件提示を行ってきたものであるから、手続面においても問題は認められない。 以上に判示したところを総合すると、本件解雇は、客観的に合理的な理由があり、かつ、社会通念上も相当であって有効である。 (2)団体交渉の経緯等の諸事実をつぶさにみても、原告組合とCMIは、原告組合が不当労働行為の救済命令を申し立てるような対立関係にはあったことは認められるものの、一般に見られる労使の対立関係を超えて、不当労働行為意思に基づいて原告組合に対する支配介入等が断続的にされていたなどということはできず、他に本件解雇が原告組合に対する嫌悪に基づくことを認めるに足りる証拠はないから、本件解雇が原告の組合員であることを理由に行われたことや、組合差別や組合嫌悪によるものとは認められない。したがって、原告組合に対する不法行為は成立しない。 |