全 情 報

ID番号 09394
事件名 未払残業代請求事件
いわゆる事件名 andeat事件
争点 店長の管理監督者性
事案概要 (1)本件は、被告(andeat株式会社)が運営する本件店舗カフェ部門の店長、その後マネージャー代理及びマネージャーとして働いていた原告が、労基法41条2号の管理監督者には該当しないため時間外労働についての割増賃金の未払があるなどとして割増賃金及び労基法114条に基づく付加金などの支払を求める事案である。
(2)判決は、原告は労基法41条2号の管理監督者には該当しないとして、被告に対し割増賃金及び付加金の支払などを命じた。
参照法条 労働基準法41条2号
体系項目 労働時間 (民事) /労働時間・休憩・休日の適用除外/ (2) 管理監督者
裁判年月日 令和3年1月13日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 令和1年(ワ)25522号
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 D1-Law.com判例体系
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働時間 (民事) /労働時間・休憩・休日の適用除外/ (2) 管理監督者〕
(1)職務権限
 原告は、カフェ部門のシフトの作成や本件店舗全体のシフトの調整、アルバイト従業員の人事評価は行っていたものと認められるが、シフト作成や調整は労務管理の一部でしかなく、人事評価についても昇給の最終判断は社長が行っていたというのであるから、これらの事情のみで、原告が、経営者と一体的な立場において、労働時間、休憩及び休日等に関する規制の枠を超えて活動することを要請されてもやむを得ないものといえるような重要な職務と権限を有していたとは認め難い。
(2)勤務態様
 原告は、店長時代のみならず、マネージャー代理及びマネージャーとなった後も、シフトに入ることが多かったことが認められ、後記のとおり恒常的に長時間労働を余儀なくされていたことにも鑑みれば、原告が自己の勤務時間に対する自由裁量を有していたとはいい難い。
(3)待遇
 原告には、当初は月額35万円、マネージャー代理の肩書を付与された後は月額40万円、平成30年4月以降は特別手当ないしその他手当を含めて月額45万円の固定給が支給されていたが、これは、同じカフェ部門の平社員であったCが月額35万円の固定給に加えて10万ないし15万円程度の時間外手当を支給されていたこと、シェフ部門の料理長の給与が月額約70万円、ベテランシェフの給与が月額約50万円であったことと比較して、高待遇とはいえない上、実労働時間を基に時給を計算すると、アルバイト従業員の時給と同程度の水準となることから、その地位に相応しい処遇を受けていたとはいえない。
(4)管理監督者該当性
 店長時代のみならず、マネージャー代理及びマネージャーとなった後についても、原告が、経営者と一体的な立場において、労働時間、休憩及び休日等に関する規制の枠を超えて活動することを要請されてもやむを得ないものといえるような重要な職務と権限を有していたとは認め難い上、勤務態様についても、自己の勤務時間に対する自由裁量を有していたとはいい難く、待遇についても、その地位に相応しい処遇を受けていたとはいえないことから、これらを総合的に考慮すると、原告が労基法41条2号の規定の趣旨が充足されるような立場にあったと認めることはできず、同項所定の管理監督者に該当するとは認められない。