全 情 報

ID番号 09395
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 IHI事件
争点 勤務態度不良による解雇
事案概要 (1)本件は、被告(株式会社IHI)の従業員であった原告が、上司に対する誹謗中傷を幾度となく注意しても繰り返し行ったことなどを理由として、平成30年11月27日付けで解雇(以下「本件解雇」という。)されたことから、本件解雇が無効であると主張して、被告との間で労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、雇用契約に基づき、本件解雇日以降の月例賃金及び違法な本件解雇により精神的苦痛を被ったと主張して慰謝料などの支払を求めた事案である。
(2)判決は、原告の訴えを棄却した。
参照法条 労働契約法16条
体系項目 解雇 (民事)/ 解雇事由/(2) 勤務成績不良・勤務態度
裁判年月日 令和3年1月15日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成31年(ワ)3872号
裁判結果 棄却
出典 D1-Law.com判例体系
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇 (民事)/ 解雇事由/(2) 勤務成績不良・勤務態度〕
(1)原告は、上司から指示された防図書業務の点検用の説明資料を、その作成業務が無用のものであるなどとして、その指示に従って作成しなかったばかりか、その作成を指示する上司のBに対し、事ある毎に批判し、容易にその指示に従わなかったものである。
 批判の内容も、Bをごみ呼ばわりしたり、頭がいかれているなどと指摘するといった激烈なものを含み、ときには同人の態度や発言を大笑、あるいは嘲笑し、同人を貶めることもあったと指摘することができる。
 しかも、そうした所為は、Bやその上長、さらにはC総務部の担当者により、口頭、メールでの告知により再三注意、警告がされてきたものであるのに改まらず、二度にわたり懲戒処分(減給処分及び出勤停止処分)をされてもなお改まらなかったものである。
そして、原告の上長に対する批判は、Bのみならず、Dに対しても向けられるようになっており、そうした原告の不服従の様子は収束の様子を見せていない。
(2)以上の点に照らせば、原告には、被告主張のように、少なくとも就業規則94条1項5号の普通解雇事由はあったと認めることができ、上記のとおり再三の注意や指導、懲戒処分にもかかわらず原告に反省の情を見出し難かったことにも照らせば、原告を解雇することとした被告の判断は、社会通念に照らしても、やむを得ないものとして相当なものであったと認められる。
 したがって、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合に当たるとはいえず、有効と認められる。