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ID番号 09411
事件名 休業補償給付不支給処分取消請求事件(67号、55号、40号)、休業補償給付等不支給処分取消請求事件(98号)
いわゆる事件名 国・大阪中央労働基準監督署長(リーヴスホーム)事件
争点 うつ病の労災認定
事案概要 (1)本件は、株式会社リーヴスホームで勤務していた原告が業務上の事由によりうつ病エピソードを発病した旨主張して、労災保険法に基づく休業補償給付又は療養補償給付を5回にわたり請求したところ、大阪中央労働基準監督署長から、上記疾病は、業務上の事由によるものに当たらないとして、これらをいずれも支給しない旨の各決定を受けたため、その取消しを求める事案である。
(2)判決は、原告の上記疾病は業務上の事由によるものに当たるとして、原告の労災保険法に基づく療養補償給付又は休業補償給付の請求に対して、いずれも不支給とした本件各処分は違法であるとして、大阪中央労働基準監督署長を取り消した。
参照法条 民事訴訟法 247条
体系項目 労災補償・労災保険/ 1 業務上・外認定
裁判年月日 令和3年3月15日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成30年(行ウ)67号 /平成30年(行ウ)98号 /平成31年(行ウ)55号 /令和2年(行ウ)40号
裁判結果 認容
出典 労働判例1249号35頁
審級関係 確定
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険/ 1 業務上・外認定〕
(1)原告の時間外労働時間数は以下のとおりとなる。
  発病前1か月目 142時間51分
  発病前2か月目 114時間58分
  発病前3か月目 111時間14分
  発病前4か月目 110時間31分
  発病前5か月目 83時間04分
  発病前6か月目 122時間04分
 このような原告の時間外労働は、心理的負荷評価表項目16の「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」に当たり、発病直前の連続した3か月間に1月当たりおおむね100時間以上の時間外労働を行い、その業務内容が通常その程度の労働時間を要するものであったということができるから、その心理的負荷の程度は「強」に当たる。
(2)原告には業務による強い心理的負荷があったのであるから、原告に業務以外の心理的負荷として、妻との不和や借金があったとしても、それらはそれぞれ認定基準別表2「業務以外の心理的負荷評価表」の「夫婦のトラブル、不和があった」として心理的負荷の強度「Ⅰ」、「借金の返済の遅れ、困難があった」として心理的負荷の強度「Ⅱ」にあたるにすぎない上、原告の個体側要因として、ストレスを過剰に受け止めてしまう性格傾向があることをふまえても、本件疾病には業務起因性が認められる。