ID番号 | : | 09414 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | ソニー生命保険ほか事件 |
争点 | : | いじめ、ハラスメント |
事案概要 | : | (1)本件は、被告会社の社員である原告が、被告会社及びその社員である被告Y1(同僚)及び被告Y2(支社長)に対し、(1)被告Y1については、同人が原告に対して嫌がらせやハラスメント行為(原告と被告Y1とのブースの境界の書棚の上にフラッグを複数回立てたほか、被告Y1及びBライフプランナーのブースの入口に見出し紙の掲示、同ブースの入口にあるロッカーのところへのプレートの掲示をする行為)をし、原告の名誉を毀損するなどしたと主張し、不法行為責任に基づき、(2)被告Y2については、原告による被告Y2への内部通報に関連し、被告Y2は、原告が他のライフプランナーのテレアポの様子を録音したなどと虚偽の事実を被告Y1らに伝達し、上記被告Y1による不法行為を引き起こすとともに、被告Y1への適切な指導を怠ったなどと主張し、不法行為責任に基づき、(3)被告会社については、被告Y1及び被告Y2の行為に対する使用者責任又は職場環境配慮義務違反の債務不履行責任に基づき、それぞれ損害賠償等の支払を請求する事案である。 (2)判決は、被告会社及び被告両名の不法行為を認め、連帯して80万円の損害賠償等を支払うよう命じた。 |
参照法条 | : | 労働施策総合推進法4条1項15号 |
体系項目 | : | 労働契約 (民事) /労働契約上の権利義務/ (24) 職場環境調整義務 |
裁判年月日 | : | 令和3年3月23日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成30年(ワ)39700号 |
裁判結果 | : | 一部認容、一部棄却 |
出典 | : | 労働判例1244号15頁 |
審級関係 | : | 確定 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約 (民事) /労働契約上の権利義務/ (24) 職場環境調整義務〕 (1)被告Y1による本件各掲示行為は、被告Y2による本件情報の伝達(Bライフプランナーに対し、「原告からD秘書の話法を録音していると聞かされているけど、問題はないですか」などと述べたこと)をきっかけとして、原告に対してなされたものであって、かかる前提を踏まえると、本件各掲示行為は、これらの掲示を見た被告会社の従業員等をして、原告が盗聴や秘密録音等を行っているとの印象を抱かせるものと認められるのであって、原告の社会的評価を低下させるものといえる。 そうすると、被告Y1による本件各掲示行為は、原告が盗聴や秘密録音等を行っているなど、前提事実の真実性等について主張立証しない限り、原告の名誉を毀損する違法なものと評価されるべきものであって、不法行為に当たるといえる。 (2)被告Y1が本件各掲示行為に及んだのは、被告Y2から本件虚偽の情報を伝達されたことがきっかけであること、被告Y2が虚偽の本件情報を伝達したことは原告の名誉を毀損するものであること、被告Y2が原告に対して異動を打診し、原告がこれを拒絶した2日後に、被告Y1が、「うごきたくない。いどうやだもん。」などと述べながら泣いている赤ちゃんの画像が印刷された本件プレートを掲示していることにも鑑みると、被告Y2は、被告Y1の本件各掲示行為によって原告に生じた損害についても、その賠償責任を負うものと解するのが相当である。 (3)被告Y1、Y2の両名には不法行為責任が認められるところ、被告会社は、被告両名の使用者であって、被告両名の上記不法行為は、その職務に関連して行われたものと評価すべきであって、これに反する証拠がないことにも照らすと、被告会社は、被告両名の行為について、使用者責任を負うというべきである。 |