ID番号 | : | 09438 |
事件名 | : | 慰謝料請求事件 |
いわゆる事件名 | : | しまむらほか事件 |
争点 | : | 同僚によるパワハラ、嫌がらせに対する責任 |
事案概要 | : | (1)本件は、被告株式会社しまむら(以下「被告会社」という。)でアルバイト店員として働いていた原告が、同じ職場で準社員として勤務していた被告Y1及び同Y2から暴行、パワーハラスメント、嫌がらせ等を受けたとして、被告Y1及び同Y2に対し、共同不法行為責任に基づき、被告Y1及び同Y2の使用者である被告会社に対し、使用者責任及び職場環境配慮義務の債務不履行責任に基づき、慰謝料140万円等の連帯支払を求めた事案である。 (2)判決は、被告らの不法行為責任を認め、原告に対し、連帯して、5万円の支払等を命じた。 |
参照法条 | : | 民法709条 民法715条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則 (民事)/ 均等待遇/ (11) セクシャル・ハラスメント アカデミック・ハラスメント |
裁判年月日 | : | 令和3年6月30日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 令和2年(ワ)9755号 |
裁判結果 | : | 一部認容、一部棄却 |
出典 | : | 労働判例1272号77頁 D1-Law.com判例体系 |
審級関係 | : | 確定 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則 (民事)/ 均等待遇/ (11) セクシャル・ハラスメント アカデミック・ハラスメント〕 (1)被告Y1は、9月中旬以降、原告に対し、「仕事したの。」と言うようになり、店長代理のEにも原告に仕事をしたか聞くと面白いから聞くようにけしかけ、実際にEが被告Y1に言われたとおり原告に「仕事した。」と質問し、これに対して原告が拒絶反応を示していることに照らすと、被告Y1は、原告に対し、原告の拒絶反応等を見て面白がる目的で「仕事したの。」と言っていることが認められる。したがって、被告Y1のこの行為は、原告に対する嫌がらせ行為であるといえる。加えて、被告Y1の9月26日午後1時頃の原告に対する行動(原告がしゃがんだ状態で作業をしていたところ、被告Y1が原告のもとに来てその背後に立ち、両手でその両肩をつかむなどしたこと、その直後、原告が立った状態でテーブルの上でシフト表を見ようとすると、被告Y1が手でシフト表を隠し、原告がシフト表をずらすと、被告Y1がシフト表の上に物を置いたこと)も、その前後の経緯からすると、原告に対する嫌がらせ行為の一環として行われたものと認められる。 また、被告Y2も被告Y1と同じ時期に、原告に対し、個別に、あるいは被告Y1と同じ機会に「仕事したの。」と被告Y1と同じ内容の発言をしているのであるから、被告Y1と同様に原告の拒絶反応等を見て面白がる目的でしたと認められる。したがって、被告Y2のこの行為は、原告に対する嫌がらせ行為であるといえる。 そして、原告はこれらの嫌がらせ行為により精神的に塞ぎ込んで通院するまでに至ったのであるから、被告Y1及び同Y2の行為により原告の人格権が侵害されたということができる。 以上によれば、被告Y1及び同Y2は、原告に対し、共同不法行為に基づく損害賠償責任を負う。 (2)被告Y1及び同Y2の原告に対する嫌がらせ行為は、被告会社の業務の執行につき行われたと認められるから、被告会社は、原告に対し、使用者責任を負う。 (3)被告Y1及び同Y2による原告に対する嫌がらせ行為の態様、継続期間、その他本件に顕れた一切の事情を考慮すると、被告Y1及び同Y2による嫌がらせ行為により原告が受けた精神的苦痛を慰謝するには5万円が相当である。 |