ID番号 | : | 09472 |
事件名 | : | 各労働契約上の地位確認等請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | ユナイテッド・エアーラインズ・インク事件 ユナイテッド・エアーラインズ(旧コンチネンタル・ミクロネシア)事件 ユナイテッド航空事件 |
争点 | : | 吸収合併に伴う整理解雇 |
事案概要 | : | (1)本件は、一審において、〈1〉甲事件:グアム島に本社を置き国際旅客事業を業とするコンチネンタル・ミクロネシア・インク(以下「CMI」という。)に客室乗務員又は機内通訳(以下「FA」という。)として勤務し、解雇された控訴人A、B、C、D(以下「個人控訴人ら」という。)が、同社を吸収合併した被控訴人(ユナイテッド・エアーラインズ・インク)に対し、同解雇が無効であるとして、主位的に、労働契約に基づき労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、平成28年(2016年)6月から本判決確定の日まで、毎月25日限り、月額賃金、賞与、プロフィット・シェア(利益の一部を還元する制度に基づいて支給される金員)等の支払、予備的に、上記解雇が不法行為に当たるとして、不法行為による損害賠償請求の支払を求め、さらに、〈2〉乙事件:個人原告らが加入する労働組合(以下「控訴人組合」という。)が、被告に対し、上記解雇が差別的な動機に基づく解雇であって違法であるとして、不法行為による損害賠償請求の支払を求めた事案である。 (2)原判決(東京地裁)は、個別控訴人ら及び控訴人組合の請求をいずれも棄却した。このため、個人控訴人らはその主位的請求を棄却した部分を、控訴人組合はその請求を棄却した部分を、それぞれ不服として控訴した。 (2)控訴審判決は、個人控訴人ら及び控訴人組合の請求をいずれも棄却した。 |
参照法条 | : | 労働契約法16条 |
体系項目 | : | 解雇 (民事)/整理解雇/(1) 整理解雇の要件 |
裁判年月日 | : | 令和3年12月22日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 令和1年(ネ)2359号 |
裁判結果 | : | 控訴棄却 |
出典 | : | 労働判例1261号37頁 労働法律旬報2005号33頁 |
審級関係 | : | 上告、上告受理申立て |
評釈論文 | : | 萩尾健太・労働法律旬報2005号10~13頁2022年4月10日 花島正晃・経営法曹214号57~66頁2022年12月 |
判決理由 | : | 〔解雇 (民事)/整理解雇/(1) 整理解雇の要件〕 (1)グアム島を訪れる日本人の数が減少する一方で、グアム-成田路線の機材変更の影響もあって、旧CO(平成25年3月31日の合併前のコンチネンタル・エアー・ラインズ・インクをいう。)やUA(平成25年3月31日の合併後平成29年4月1日合併前のユナイテッド・エアーラインズ・インクをいう。)からCMIに委託されるグアム-成田路線の業務量が減少し、CMI所属の日本語スピーカーのFA(特に成田ベース所属のFA)が担当すべき業務自体が大きく減少する中で、日本語スピーカーのFAの業務量に応じた効率的な人員体制とするため、CMIが成田ベースを閉鎖すると決断したことは、企業経営の観点から合理的かつ相当で必要な判断ということができるところ、成田ベースを閉鎖する以上、そこに勤務する形態の成田ベース所属のFAがFAとして担当する業務は存在しなくなることから、成田ベース所属のFAについてFA業務の担当から外すという意味で解雇する(人員を削減する)十分な必要性があったものというべきである。また、解雇回避措置についても、CMIは、FAとしての年収水準を維持した上での地上職への配置転換や早期退職に伴う特別退職金の支払など、解雇により個人控訴人らが被る不利益を相当程度緩和するものとして、可能な限りの措置を講じていたものということができる。さらに、被解雇者選定については、成田ベースの閉鎖が前提となる以上、成田ベース所属のFAの全員が解雇の対象者となるところ、地上職への配置転換又は早期退職に応じた者以外の者全員が解雇されているから、選定の合理性も認められる。加えて、CMIは、複数回にわたる団体交渉を通じて、控訴人組合に対し、成田ベース閉鎖に至る経緯やその必要性を説明するとともに、地上職への配置転換又は早期退職を提案してその条件提示を行ってきたのであるから、手続面においても問題は認められない。 したがって、いわゆる整理解雇の四要素に照らしても、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないということはできない。 |