ID番号 | : | 09480 |
事件名 | : | 地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | デンタルシステムズ事件 |
争点 | : | 能力不足による解雇の有効性 |
事案概要 | : | (1)本件は、コンピュータシステムの開発・販売及び輸出入業務、ソフトウェア製品の開発・販売及び輸出入業務等を目的とする株式会社である被告(デンタルシステムズ株式会社)に期間の定めのない労働契約を締結し営業担当職員として勤務していた原告が、被告が就業規則47条1項1号(勤務成績又は業務能率が著しく不良で、向上の見込みが無く、他の職務にも転換できない等就業に適さないとき)に該当するとして令和2年7月31日付けでした原告の解雇(以下「本件解雇」という。)は無効であると主張して、被告に対し、〈1〉労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに〈2〉本件解雇後の賃金等の支払を求める事案である。 (2)判決は、解雇は無効であるとして、原告の請求を認容した。 |
参照法条 | : | 労働契約法16条 |
体系項目 | : | 解雇 (民事)/ 解雇事由/ (3) 職務能力・技量 |
裁判年月日 | : | 令和4年1月28日 |
裁判所名 | : | 大阪地裁 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 令和2年(ワ)11236号 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働判例1272号72頁 |
審級関係 | : | 確定 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇 (民事)/ 解雇事由/ (3) 職務能力・技量〕 (1)確かに、採用当初における原告の営業成績は振るわないものであったとはいえ、本件解雇がされた令和2年7月末頃には、原告の勤務成績又は業務能率には改善の兆しが見え始めていたのであって、原告の勤務成績又は業務能率が著しく不良である状況が将来的にも継続する可能性が高かったものと証拠上認めることはできない。上司Aとのコミュニケーションの取り方から見て取れる原告の勤務態度等にも鑑みれば、原告の勤務成績又は業務能率につき、向上の見込みがなかったとはいえない。 (2)在職中における原告の営業成績は振るわないものであったとはいえ、本件解雇がされた令和2年7月末頃の時点において、原告の勤務成績又は業務能率に向上の見込みがなかったとはいえないから、原告に就業規則所定の解雇事由は認められない。また、仮に解雇事由が認められる余地があったとしても、原告を解雇せざるを得ないほどの事情があるものと証拠上認めることはできない。 よって、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないから、解雇権を濫用したものとして無効となる(労働契約法16条)。 |