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ID番号 09580
事件名 損害賠償等請求事件
いわゆる事件名 山口放送事件
争点 退任取締役の退職金慰労金不支給に対する損害賠償
事案概要 (1)本件は、被告山口放送株式会社(以下「被告会社」という。)の被告会社の代表取締役である被告Y(以下「被告Y」という。)が、令和2年5月上旬頃、被告会社の取締役である原告に対し、今期をもって取締役を退任してもらう旨を内示したところ、原告が同年6月、フリーライター1名に対し、被告会社において、平成9年及び平成11年の調査において、実際は被告会社のCM放送に不正があったにもかかわらず、これを隠した調査結果を報告したなどとするメールを送信した上、CM放送に関する資料等を送付し、また公益社団法人日本アドバタイザーズ協会(以下「アド協」という。)及び株式会社中国新聞社に対し他社のCM放送の不正に関する問題に絡み、被告会社にも同様の不正が存在したが、被告会社は、平成11年の全国調査を前にデータを修正して上記不正を隠ぺいしたとして、これに関する資料等を送付した(本件告発)。被告会社は、原告が本件告発をしたことを認知し、本件告発は取締役の忠実義務に反する行為であり容認できないと判断し、被告会社は、本件株主総会において、原告に対する退職慰労金の支給決議を否決する方針とし、令和2年6月26日に開催された被告会社の株主総会(以下「本件株主総会」という。)において、原告に対して退職慰労金を支給する旨の議案が否決された(以下「本件決議」という。)。このことに関し、原告が、
〈1〉主位的に、被告Yが、本件株主総会において、株主に対して委任の趣旨に反する議決権行使をさせた上、議事運営を著しく不当に行ったなどとして、被告Yに対しては会社法429条1項又は民法709条に基づき、被告会社に対しては会社法350条又は民法715条に基づき、連帯して、損害金2079万円等の支払を求め、
〈2〉予備的に、本件決議が公序良俗に反するから、原告には被告会社の役員退職慰労金規程(以下「本件規程」という。)に従った退職慰労金支払請求権があるとして、被告会社に対し、本件規程に基づき、退職慰労金1890万円等の支払を求める事案である。
(2)判決は、原告の請求はいずれも理由がないとして棄却した。
参照法条 民法709条
会社法350条
体系項目 賃金 (民事)/ 退職金/ (8) 退職慰労金
裁判年月日 令和5年3月20日
裁判所名 山口地周南支
裁判形式 判決
事件番号 令和2年(ワ)87号
裁判結果 棄却
出典 D1-Law.com判例体系
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔賃金 (民事)/ 退職金/ (8) 退職慰労金〕
(1)被告会社に委任状を提出した株主は、第5号議案(原告外2名の取締役が任期満了により退任すること及び原告外2名の取締役に在任中の功労に報いるため、従来の慣例等に従い、所定基準に従って相当額の範囲内の退職慰労金を贈呈することとし、その具体的金額等は取締役会の一任としたい旨の内容)について、その採否を被告会社又は当該株主が指名した議決権行使者に委ねたのであるから、被告会社から議決権行使者として指名されたBが、被告会社の判断に従って原告に係る第5号議案について反対の議決権を行使したことが株主の委任の趣旨に反するということはできない。
(2)被告Yの議事運営等に任務懈怠又は不法行為法上の違法性があるとして被告Yに対しては会社法429条1項又は民法709条、被告会社に対しては会社法350条又は民法715条に基づく原告の請求は理由がない。
(3)取締役の報酬等は、定款又は株主総会の決議によって報酬等の額が定められなければ具体的な請求権は発生せず、取締役が報酬等を請求することはできず、このことは、内規で退職慰労金の支給基準が定められ、これまで退職慰労金の支給がなされてきた慣行がある場合であっても同様というべきであるから、上記慣行があること、現に原告以外の2名の取締役については退職慰労金の支給決議がなされたことのみをもって、本件決議が公序良俗に違反するということはできない。