全 情 報

ID番号 09590
事件名 配転命令無効確認等請求事件
いわゆる事件名 新日本技術事件
争点 職種変更の配転命令の有効性
事案概要 (1)被告(建築意匠の制作、建築構造設計、空調衛生・電気設備、情報通信、機械プラント、機械、土木工事の設計・監理・積算、管理・施工図の作成等を目的とする株式会社)の営業部において、営業職として勤務していた原告に対し、被告の総務部長であったA(以下「A」という。)は、令和3年6月11日午前、書面を示して、同月15日をもって、技術部に配置転換する旨を伝え、同日午後、業務指示書を示して、同年7月1日から技術部へ異動するよう配置転換を命ずる(以下「本件配置転換命令」という。)とともに、同月14日から同月30日まで自宅待機を命じ(以下「本件自宅待機命令」という。)、同年9月27日付けで、原告が本件配置転換命令に従わず欠勤していること及び本件訴訟を提起したことを理由として、懲戒解雇する旨の意思表示(以下「本件懲戒解雇」という。)をした。これに対し原告が、本件配置転換命令及び本件懲戒解雇も無効であると主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあること及び技術部に勤務する労働契約上の義務がないことの各確認、同年7月以降、賃金、賞与等の支払、同配置転換命令及び同懲戒解雇が違法であるとして慰謝料等の支払を求めた事案である。
(2)判決は、本件配置転換命令及び本件懲戒解雇は無効であるとして、原告が被告に対して雇用契約上の権利を有する地位にあること及び被告技術部に勤務する労働契約上の義務がないことを認容し、賃金等の支払を認め、慰謝料の請求は棄却した。
参照法条 労働契約法15条
労働契約法16条
体系項目 配転・出向・転籍・派遣/ 3 配転命令権の濫用
裁判年月日 令和5年7月14日
裁判所名 東京地裁
裁判形式 判決
事件番号 令和3年(ワ)20334号
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 D1-Law.com判例体系
審級関係
評釈論文
判決理由 〔配転・出向・転籍・派遣/ 3 配転命令権の濫用〕
(1)原告は、本件雇用契約に先立って提出した履歴書において営業職を希望する旨を明らかにしていたものと認めることができるが、本件全証拠を精査しても、原告と被告が本件雇用契約書及び就業規則の定めにかかわらず、職務を営業部に限定する等の合意をしたと認めるには足りない。
 したがって、被告が原告に対して本件雇用契約及び就業規則に基づいて配置転換等を命ずること自体は、妨げられるものではない。
(2)被告において技術部に所属する技術職が不足しているなどの必要性は明らかでない一方、原告に対して事務所の鍵の返却を指示した上で、具体的な出勤・業務を命ずることもなかったことからすると、被告において、本件配置転換命令に当たり、労働力の適正配置、業務の能率増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化などの業務の必要性があったものと認めることはできない。
 したがって、本件配置転換命令は無効であるというべきである。
(3)被告は、原告に対し、令和3年9月27日付けで、原告が本件配置転換命令に従わず欠勤していること及び本件訴訟を提起したことを理由として、本件懲戒解雇をしたものと認めることができる。
 しかしながら、本件配置転換命令は無効であるし、被告は、原告に対し、本件自宅待機命令により令和3年6月14日から同月30日まで自宅待機することを指示し、被告の事務所の鍵の返却を要求し、その後、技術部に所属するはずの原告に対し、具体的な出勤を命ずることもなく、従事すべき業務も指示していないのであって、原告が技術部の業務に従事しなかったことは、被告の就業規則の定める懲戒解雇理由である「無断もしくは正当な理由なく欠勤」及び「出勤常ならず、改善の見込みのないとき」に該当するものということはできない。
 なお、原告が被告に対して本件訴訟を提起したことが被告の就業規則の定める懲戒解雇の原因に当たるものとは到底解されない。
 したがって、本件懲戒解雇は無効であるというべきである。