| ID番号 | : | 09591 |
| 事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
| いわゆる事件名 | : | 日本郵便(寒冷地手当)事件 |
| 争点 | : | 時給制契約社員に対する寒冷地手当不支給の違法性 |
| 事案概要 | : | (1)本件は、日本郵便株式会社(以下「被告」という。)と期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)を締結している時給制契約社員である原告が、被告と期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)を締結している労働者に寒冷地手当を支給する一方で原告にこれを支給しないのは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの。以下同じ。)に違反する旨主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求金として、平成28年11月分から令和元年11月分までの寒冷地手当相当額11万2200円等の支払を求めた事案である。 (2)判決は、原告の請求を棄却した。 |
| 参照法条 | : | 労働契約法20条 |
| 体系項目 | : | 労基法の基本原則 (民事)/ 7 男女同一賃金、同一労働同一賃金 |
| 裁判年月日 | : | 令和5年7月20日 |
| 裁判所名 | : | 東京地裁 |
| 裁判形式 | : | 判決 |
| 事件番号 | : | 令和2年(ワ)3729号 |
| 裁判結果 | : | 棄却 |
| 出典 | : | 判例タイムズ1518号163頁 労働判例1301号13頁 労働経済判例速報2541号3頁 |
| 審級関係 | : | 控訴 |
| 評釈論文 | : | 水町勇一郎(東京大学労働法研究会)・ジュリスト1593号107~110頁2024年2月 河津博史・銀行法務2168巻3号71頁2024年3月 和田一郎・労働経済判例速報2541号2頁2024年4月10日 |
| 判決理由 | : | 〔労基法の基本原則 (民事)/ 7 男女同一賃金、同一労働同一賃金〕 (1)正社員の基本給は、〈1〉担当する職務の内容による分類(職群、又はコース・役割グループ)、〈2〉職務の複雑困難性及び責任の度合による区分、又は社員に期待される役割による区分(職務の級、又は役割等級)並びに〈3〉前年度の勤務成績が良好であることを必要条件として上位に変更され得る賃金階層(号俸)によって定められており、勤務地域による差異は設けられていない。 そして、寒冷地手当は、正社員が毎年11月から翌年3月までの各月1日という冬期の基準日に所定の寒冷地域に在勤することを条件として支給され、その額は、地域の寒冷及び積雪の度による区分並びに世帯主か否か及び扶養家族の有無による区分に応じて定められている。 そうすると、寒冷地手当は、正社員の基本給が上記〈1〉から〈3〉までの要素によってのみ決定され、勤務地域による差異が設けられていないところ、寒冷地域に在勤する正社員は、他の地域に在勤する正社員と比較して、寒冷地域であることに起因して暖房用燃料費等に係る生計費が増加することから、寒冷地域に在勤する正社員に対し、寒冷地域であることに起因して増加する暖房用燃料費等に係る生計費をその増加が見込まれる程度に応じて補助することによって、勤務地域を異にすることによって増加する生計費の負担を緩和し、正社員間の公平を図る趣旨で支給されているものと解される。 (2)時給制契約社員の基本賃金は、勤務地域ごとに必要とされる生計費も考慮された上で、勤務地域ごとに定められているのであるから、勤務地域を異にする者の間に、基本賃金に勤務地域による差異がないことに起因する不公平が生じているとはいえず、寒冷地手当の支給により公平を図る趣旨が妥当するとはいえない。 そうすると、正社員、とりわけ郵便の業務を担当する新一般職と郵便の業務を担当する時給制契約社員との間には職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲につき相応の共通点があることを考慮しても、正社員に対して寒冷地手当を支給する一方で、時給制契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、不合理であると評価できるものではない。 |