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ID番号 09592
事件名 時間外割増賃金等請求事件
いわゆる事件名 サカイ引越センター事件
争点 割増賃金の基礎賃金と1年単位の変形労働時間制の有効性
事案概要 (1)本件は、株式会社サカイ引越センター(以下「被告」という。)に雇用され、被告において正社員の現業職(運転手)として引越運送業務に従事していた原告X1,X2、X3(以下「原告ら」という。)が、割増賃金の基礎賃金に業績給A(売上給)、業績給A(件数給)、業績給B、愛車手当及び無事故手当、アンケート手当及びその他・その他2の各賃金が含まれていないこと及び1年単位の変形労働時間制が無効であることを理由として時間外労働に係る割増賃金(以下、単に「割増賃金」という。)等が未払であると主張し割増賃金及び付加金等の支払を求めるとともに、原告X1は資格手当等の支払を求めるものである。
(2)判決は、割増賃金の基礎賃金については基本給に各業績給及び各手当を合算したものとなること及び1年単位の変形労働時間は無効とし、原告らに対する未払割増賃金及び付加金等の支払を認容するとともの、原告X1への資格手当の不払を認め資格手当等の支払を認容した。
参照法条 労働基準法32条の4
労働基準法37条
労働基準法114条
体系項目 労働時間 (民事)/ 変形労働時間/ (2) 1年単位の変形労働時間
裁判年月日 令和5年8月9日
裁判所名 東京地裁立川支部
裁判形式 判決
事件番号 平成31年(ワ)187号
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 労働判例1305号5頁
労働経済判例速報2536号3頁
D1-Law.com判例体系
審級関係 控訴(令和6年5月15日東京高判:控訴棄却、附帯控訴棄却)
評釈論文 村松暁・季刊労働者の権利354号109~116頁2024年1月
三上安雄・労働経済判例速報2536号2頁2024年2月10日
牟礼大介・労働判例1307号82~83頁2024年6月15日
判決理由 〔労働時間 (民事)/ 変形労働時間/ (2) 1年単位の変形労働時間〕
(1)業績給A(売上給)、業績給A(件数給)は、現業職の労働給付の成果に応じた賃金と実質的に評価することはできず、出来高払制賃金に該当するとは認められない。
(2)愛車手当、無事故手当は、現業職の労働給付の成果に応じて一定比率で定められた賃金とは評価することができず、出来高払制賃金に該当するとは認められない。
(3)アンケート手当、その他・その他2の賃金は、臨時に支払われた賃金に該当するとは認められず、割増賃金の算定基礎から除外されない。
(4)本件就業規則32条には、現業職の始業・終業時刻(シフト)が複数記載されていたのに、本件就業規則においてシフトの組合せの考え方、公休予定表の作成手続及び周知方法等の定めはなく、G支社は、上記各労使協定上、いずれのシフトを採用するか明示せず、公休予定表ないし出勤簿においてもシフトの記載は見当たらないところ、時期によって異なるシフトを採用し、シフトAからシフトBへの移行日も全現業職において一律ではなかった上、顧客の引っ越しの関係上個別の従業員ごとに早出・遅出のシフトも組まれていたというのであるから、労基法32条の4及び89条の趣旨に照らし、現業職の労働時間が、書面により始業・終業時刻をもって特定されていたと評価することはできない。また、そもそも、G支社においては、各月の30日前までに従業員の公休予定表を作成・周知する取扱いが徹底されておらず、公休予定表の作成後も、従業員らの申出以外の理由により、公休予定日が変更されることがまれではなかったことに照らすと、各月の30日前までに公休予定表が作成される形がとられていたとしても、実態として、各期間の労働日が特定されていたと評価することはできないといわざるを得ない。
 以上によれば、その余の点を判断するまでもなく、本件請求対象期間におけるG支社の変形労働時間制の定めは、労基法32条の4の要件を充足しないものとして無効である。