| ID番号 | : | 09593 |
| 事件名 | : | 文書提出命令申立事件 |
| いわゆる事件名 | : | 對馬(文書提出命令)事件 |
| 争点 | : | 労働時間関係書類の文書提出命令 |
| 事案概要 | : | (1)基本事件は、基本事件の被告である相手方(株式会社對馬)との間で労働契約を締結し、相手方が経営する中華料理店で勤務していた申立人らが、時間外労働等をしたほか、交通費を支出し、経費を立て替えたと主張して、相手方に対し、労働契約に基づき未払割増賃金、交通費及び立替経費の支払を求めるとともに、労働基準法(以下「労基法」という。)114条に基づき付加金の支払を求めた事案である。 申立人は、別紙文書目録記載1「労働条件通知書兼雇用契約書」(以下「本件文書1」という。)及び別紙文書目録記載2「相手方が経営する麻布十番の高級中華料理店「對馬」で申立人らが出勤時、退勤時、休憩開始時、休憩終了時の都度手書きでそれら時刻を記載した紙」(以下「本件文書2」という。)の各文書について、相手方が所持しており、民訴法220条4号イないしホの除外事由に該当せず、取調べの必要性があると主張し、各文書を提出するよう申し立てた事案である。 これに対し、相手方は、申立人らとの間で本件文書1は作成していない、申立人らに関する本件文書2は給与の計算等が完了するとその都度破棄していたため、存在しないと主張する。 (2)決定は、本件文書2は相手方が所持しており、民訴法220条4号イないしホの除外事由に該当しないから、相手方は本件文書2の提出義務を負うとし、本件文書1について取調べの必要性があるとは認められないとした。 |
| 参照法条 | : | 民訴法220条 |
| 体系項目 | : | 雑則 (民事) / 6 文書提出命令 |
| 裁判年月日 | : | 令和5年8月4日 |
| 裁判所名 | : | 東京地裁 |
| 裁判形式 | : | 決定 |
| 事件番号 | : | 令和5年(モ)1584号 |
| 裁判結果 | : | 一部認容、一部棄却 |
| 出典 | : | 労働判例1317号35頁 労働経済判例速報2530号20頁 |
| 審級関係 | : | 抗告 |
| 評釈論文 | : | |
| 判決理由 | : | 〔雑則 (民事) / 6 文書提出命令〕 (1)申立人らは、労働条件通知書兼雇用契約書のひな形に署名したのであるから、本件文書1は存在すると主張する。 上記ひな形に記載されている労働条件は、労働時間、休日、賃金、割増賃金率、賃金締切日及び賃金支払日であるところ、割増賃金率は法定の利率と同率であり、その余の点については、当事者間に争いがない。 そうすると、本件文書1の存在について争いはあるものの、同文書の取調べの必要性があるとは認められない。 (2)相手方は、本件文書2は給与の計算等が完了するとその都度破棄していたため、存在しないと主張する。しかしながら、相手方は、タイムカードを導入しておらず、申立人らの労働時間を管理する文書としては本件文書2しかないのであるから、本件文書2は、「労働関係に関する重要な書類」(労基法109条)として、使用者たる相手方が5年間の保存義務を負っていると認められる。しかも、違反した場合は罰金の罰則もあるのであるから(同法120条1号)、所持している蓋然性が非常に高いといえる。 このような点に照らすと、本件文書2は給与の計算等が完了するとその都度破棄していたとの相手方の上記主張は、破棄の事実について具体的な裏付けもないまま、採用することはできないといわざるを得ない。 したがって、本件文書2は相手方が所持しており、民訴法220条4号イないしホの除外事由に該当しないから、相手方は本件文書2の提出義務を負う。 また、基本事件において、申立人らの労働時間に争いがあるから、本件文書2を取り調べる必要がある。 |