| ID番号 | : | 09594 |
| 事件名 | : | 一部文書提出命令に対する抗告事件 |
| いわゆる事件名 | : | 對馬(文書提出命令)事件 |
| 争点 | : | 労働時間関係書類の文書提出命令 |
| 事案概要 | : | (1)基本事件は、基本事件の被告である抗告人(株式会社對馬)との間で労働契約を締結し、抗告人が経営する中華料理店で勤務していた申立人らが、時間外労働等をしたほか、交通費を支出し、経費を立て替えたと主張して、抗告人に対し、労働契約に基づき未払割増賃金、交通費及び立替経費の支払を求めるとともに、労働基準法(以下「労基法」という。)114条に基づき付加金の支払を求めた事案である。 申立人は、別紙文書目録記載1「労働条件通知書兼雇用契約書」(以下「本件文書1」という。)及び別紙文書目録記載2「抗告人が経営する麻布十番の高級中華料理店「對馬」で申立人らが出勤時、退勤時、休憩開始時、休憩終了時の都度手書きでそれら時刻を記載した紙」(以下「本件文書2」という。)の各文書について、抗告人が所持しており、民訴法220条4号イないしホの除外事由に該当せず、取調べの必要性があると主張し、各文書を提出するよう申し立てた事案である。 これに対し、抗告人は、申立人らとの間で本件文書1は作成していない、申立人らに関する本件文書2は給与の計算等が完了するとその都度破棄していたため、存在しないと主張する。 (2)原審決定では、本件文書2は抗告人が所持しており、民訴法220条4号イないしホの除外事由に該当しないから、抗告人は本件文書2の提出義務を負うとし、本件文書1について取調べの必要性があるとは認められないとされた。 これに対し、上記提出命令を不服とする抗告人が本件抗告をした。 (3)決定では、本件文書2を取り調べる必要があるとの原審の判断を踏まえて、抗告人に対し、本件文書2の提出を命じるのが相当であると判断するとし、抗告を棄却した。 |
| 参照法条 | : | 労働基準法109条 民訴法220条 |
| 体系項目 | : | 雑則 (民事) / 6 文書提出命令 |
| 裁判年月日 | : | 令和5年11月14日 |
| 裁判所名 | : | 東京高裁 |
| 裁判形式 | : | 決定 |
| 事件番号 | : | 令和5年(ラ)1926号 |
| 裁判結果 | : | 抗告棄却 |
| 出典 | : | 労働判例1317号31頁 |
| 審級関係 | : | 抗告棄却 |
| 評釈論文 | : | |
| 判決理由 | : | 〔雑則 (民事) / 6 文書提出命令〕 (1)抗告人は、当審において、法的な保存義務が定められている文書であっても、当該文書の滅失や紛失等による文書の不所持に関する反証は否定されないのであり、本件では、抗告人代表者が本件文書2を廃棄した経緯について具体的に説明しているから、破棄の事実について具体的な裏付けがされているといえる旨主張し、抗告人代表者の陳述書を提出する。 (2)しかし、上記抗告人代表者の陳述書の記載内容を見ても、本件文書2に該当する従業員が手書きしたメモに基づき、毎月末締めで従業員の給与を計算し、毎月手書きの紙の給料支払明細書を発行した後は、上記メモを都度廃棄していた旨や、当該メモにつき、勤務時間を管理する資料として保存義務があることは知らなかった旨が記載されるにとどまり、その具体的な廃棄の方法及び状況等が説明されていない上、その廃棄を裏付ける客観的な資料等は一切提出されていない。加えて、抗告人は、基本事件の提起後、相手方らから本件文書2に該当する文書を開示するよう求められ、抗告人代理人弁護士を通じて、本件文書2に該当する文書を含む一式資料は税理士が保管している旨を説明するのみで、同文書の廃棄の事実については何ら言及していなかったにもかかわらず、本件申立て後、本件文書2の廃棄に係る主張をするに至り、当審に至るまで上記陳述書も提出されなかったという経緯等に照らしても、上記メモの廃棄に係る抗告人代表者の陳述書の記載内容を信用することはできないというべきである。 そして、その他一件記録を参照しても、抗告人が上記メモを廃棄したと一応認めるに足りる的確な資料や事情は見当たらない。 |