ID番号 | : | 10008 |
事件名 | : | 労働基準法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | 山下事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 使用者が労基法二〇条に違反したとして起訴された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法20条 労働基準法119条1号 |
体系項目 | : | 解雇(刑事) / 解雇予告と除外認定 |
裁判年月日 | : | 1978年4月11日 |
裁判所名 | : | 名古屋高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和52年 (う) 397 |
裁判結果 | : | 有罪 |
出典 | : | 時報917号143頁 |
審級関係 | : | 一審/昭和簡/昭52.10.19/昭和52年(ろ)5号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇予告と除外認定〕 しかしながら労働基準法二〇条一項本文による解雇予告は労働者らに解雇の日を明確に特定して予告しなければならず、被告人が昭和五一年六月二〇日より三〇日以前に適法な解雇予告をしたと認められないこと前述のとおりであるところ、同条項違反の犯意としては、使用者が解雇しようとする労働者各自に対し明確に解雇の日を予告特定することなく解雇通知をしたことの認識があれば足るものと解され、《証拠略》によれば、被告人は前記六月二〇日以前には労働者側に対し、同会社サウナ部門閉鎖の意向は伝えてあったので、解雇する労働者に個別的な解雇の予告はしなかったこと、被告人の意思に基づき前記六月二〇日の原判示労働者らに対する解雇通知がなされたことはいずれも認めて争わないところであるから、右事実によれば被告人の同条項違反の犯意に欠けるところはないと認められるので、所論に到底左袒することはできない。従って原判決には所論の事実誤認ないし法令の解釈適用の誤りはなく、論旨は理由がない。 (中略) 労働基準法二〇条一項但書の「天災事変その他やむを得ない事由」とは、「天災事変に準ずる程度に不可抗力に基き且つ突発的な事由の意であり、事業の経営者として社会通念上採るべき必要な措置を以てしても通常如何ともなし難く、かつ解雇の予告をする余裕のないもの」を言うもので、本件会社のように経営者の事業計画の見透しの杜撰さ、社会状勢の変化などから漸次招くに至った右会社経営の不振が右但書の除外事由に該当しないことは明白であって、この点からも所論に左袒することはできない。 |