ID番号 | : | 10029 |
事件名 | : | 建造物侵入、威力業務妨害事件 |
いわゆる事件名 | : | 東洋酸素事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 組合が三六協定を締結せず休日出勤拒否闘争を行ない、かつ管理職者による休日操業を阻止するために労働者が工場内に立入って退去しなかった行為が建造物不退去罪にあたるか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法36条 |
体系項目 | : | 労働時間(刑事) / 時間外・休日労働 / 時間外・休日労働の要件 |
裁判年月日 | : | 1971年3月24日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和45年 (う) 632 |
裁判結果 | : | 有罪(確定) |
出典 | : | 東高刑時報22巻3号125頁/タイムズ264号394頁/刑裁月報3巻3号373頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働時間-時間外・休日労働-時間外・休日労働の要件〕 ストライキの本質は「労働者が労働契約上負担する労務供給義務の不履行にあり、その手段方法は労働者が団結してその持つ労働力を使用者に利用させないことにある」(最高裁昭和三三年五月二八日大法廷判決、刑集一二巻八号一六九四頁)のであつて、それは労働者が労務供給義務の不履行にもとづき賃金の支払をうけえないことによつて損失をうける一方、使用者をして正常な形態で操業をつづけることができないようにさせ、両者が互にその主張とストライキによる経済的損害とを検討しあうことによつて両者の主張の妥結による労働条件の決定を目ざすものであるが、この場合労働者の被る損失は、労働契約上本来取得すべき賃金を失うことにあるのに対し、本件の休日労働の拒否にあつては、前掲のように三六協定が締結されておらず、しかもあらかじめ休日ごとに川崎工場側の要請に対して支部組合側がこれを承諾する方法によつていたのであるから、組合側において右の要請を拒否することは自由であり適法であつて、これを拒否した以上、当初から労務供給義務は発生せず、もとより供給義務不履行の問題のおこる余地もなく、従つて初めから賃金請求権も発生しない。 |