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ID番号 10031
事件名 労働基準法違反被告事件
いわゆる事件名 田中工作所・四国電力事件
争点
事案概要  下請負人が高圧電線に対する危害防止に必要な措置をとらなかったとして労基法四二条の安全義務違反の罪に問われた事例。
参照法条 労働基準法10条
労働基準法121条但書
体系項目 労基法総則(刑事) / 使用者
罰則(刑事) / 両罰規定
裁判年月日 1971年11月9日
裁判所名 高松高
裁判形式 判決
事件番号 昭和45年 (う) 120 
裁判結果 無罪(確定)
出典 時報660号102頁/タイムズ275号291頁/刑裁月報3巻11号1447頁
審級関係 一審/徳島簡/昭45. 3.13/昭和43年(ろ)127号
評釈論文
判決理由 〔労基法総則-使用者〕
 Aは昭和三五年頃から被告人の経営する前記B工作所で働き、職長という呼称で被告人に次ぐ責任者として他の従業員を指図し、特に被告人が工事現場に行かない場合は現場作業員の指揮監督に当っていたものであって、本件工場現場においても同様前記Cら数名の従業員と前記クレーン車の運転者を指揮して鉄骨の荷降ろし、組立の作業を担当していたことが認められるから、右Aは被告人の事業における労働者に関する事項につき事業主(被告人)のため行為をする者に該当し、労働基準法に定める使用者というを妨げないものというべきである。
〔罰則-両罰規定〕
 してみると、事業主たる被告人は同法一二一条一項本文の両罰規定の適用を受けるべき関係にあるわけであるが、所論は同項但書の免責を主張するので、以下この点について検討を進めることとする。
 ところで、右但書にいうところの、事業主が違反の防止に必要な措置をするとは、当該違反防止のため客観的に必要と認められる措置をすることであり、従って、それは、事業主が、単に一般的、抽象的に違反防止の注意、警告をしただけで足りるものではなく、違反行為の発生を有効に防止するに足りる相当にして具体的な措置を実施することを要すると解すべきである。そして、右にいう相当にして具体的な措置とは、当該事業所の機構、職制をはじめ、事業の種類、性質、更には事業運営の実状等当時の具体的状況によって決すべきものと解するのが相当である。