ID番号 | : | 10037 |
事件名 | : | 労働基準法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | |
争点 | : | |
事案概要 | : | 使用者が経営困難を理由に賃金支払日に賃金を支払わなかったことで二四条違反で起訴された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法24条2項 |
体系項目 | : | 賃金(刑事) / 賃金の支払い方法 / 定期日払い |
裁判年月日 | : | 1969年8月8日 |
裁判所名 | : | 仙台高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和44年 (う) 192 |
裁判結果 | : | 棄却・有罪 |
出典 | : | |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-賃金の支払い方法-定期日払い〕 しかし、労働基準法二四条二項は、賃金は労働者の生活を支える唯一、もしくは重要な収入であつて、それが定期に支払われない時においては、その生活自体が脅かされるおそれがあるため、使用者に対し一定期日にこれを支払うことを義務づけているのであるから、その期日を守るについて使用者に特別な責任ある態度が要求されることは当然であつて、その態度の欠如が、本罪を構成する要素ともなるのである。 本件についてこれをみると、原判決にかかげる各証拠を綜合すれば、被告人は当時、採取販売した砂利の売掛金の回収ができず、他からの融資も望み得ない状態であり、設備用の機械、油代等もかさんで経営が困難になつてはいたが、なお貨物自動車三台位を使つて砂利採取を継続し、燃料代等の支払いもしていたのであり、一方本件賃金額は比較的小額であつて、右燃料代等の支払いに優先して賃金を支払うとか、採取した砂利を換金して賃金の支払いに充当するなどのことができたであろうことは十分認められるほか、事後の状況をみても、被告人は右事業の失敗後、人夫の出勤簿など賃金支払関係書類を紛失しているなど責任ある態度とはいえず、被告人に、本件各賃金の支払いについての誠実な態度は認められない。 |