ID番号 | : | 10040 |
事件名 | : | 地方公務員法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | 京教組勤評反対闘争事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 京教組の執行委員長の職にあった者が勤評反対闘争に関連して三日間にわたる授業放棄をして集会に参加すべき旨の休暇闘争を指令して違法な争議行為をあおったとして起訴された事例。 |
参照法条 | : | 地方公務員法37条1項 労働基準法39条 |
体系項目 | : | 年休(刑事) / 年休の付与 |
裁判年月日 | : | 1968年2月22日 |
裁判所名 | : | 京都地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和33年 (わ) 1097 |
裁判結果 | : | 無罪 |
出典 | : | 下級刑集10巻2号142頁/時報520号18頁/タイムズ222号108頁/教職員人事判例5号579頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔年休-年休の付与〕 地方公務員法三七条一項前段の場合に即していうならば、そこに禁止されている同盟罷業とは、その立法趣旨からみて、労働組合その他の労働者の団体が、自己の主張を貫徹することを目的として、その統制下に、集団的に労務の提供を拒否し、その結果、地方公共団体の業務の正常な運営を阻害する行為であるということができる。しかし、労働組合の行為で、社会的事実としては争議行為と目されるようなものであるとしても、その行為が法律に照らし正当な権利行使として認められる場合には、これをも含めて同条項が禁止、制限の対象としているものと解すべきではない。したがって、労働者が、組合の統制下に集団的に年次有給休暇を請求した場合には、まず、その年次有給休暇の請求が、労働基準法に照らし正当な権利行使であるか否かを審査すべきであって、単に、その実体が争議行為であるということから、直ちに、右条項によって禁止された同盟罷業であると断定することは許されないものといわなければならない。 (中略) そこで、前記のような観点から、本件の一斉休暇請求権の行使を検するに、その実態は、京教組傘下の全組合員が、五、三、二の割合で三日間にわたって有給休暇を請求し、時季変更権者である教育委員会或いは学校長の態度如何、時季変更権の行使の有無にかかわらず、あくまで職場を離脱して抗議集会に参加せよというものであり、その休暇届は、その指定する休暇日の前日に提出するものとされ、本件のように、大量に休暇届を提出するについて、時季変更権者がその権利を行使するに充分な余裕を置くことにつき、何ら意を用いようとしなかったことが認められる。故に本件の場合は、右の点において、法律上正当な年次有給休暇請求権の行使として評価し得る性質のものというべきでなく、かえって、このことから、地方公務員法三七条一項前段に規定する同盟罷業としての該当性を免れることができないのである。 |