ID番号 | : | 10058 |
事件名 | : | 労働基準法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | カフェー「ブラック」事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 一八歳未満の女子をカフェー「A」のホステスとして酒席に侍する業務に就かせたことにより労基法六三条二項違反で同カフェーの経営者が起訴された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法62条2項 |
体系項目 | : | 年少者(刑事) / 未成年者の危険有害業務 |
裁判年月日 | : | 1966年4月23日 |
裁判所名 | : | 鹿児島家 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和40年 (少イ) 4 |
裁判結果 | : | 無罪 |
出典 | : | 家裁月報19巻2号153頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔年少者-未成年者の危険有害業務〕 労働基準法六三条二項違反の罪には児童福祉法六〇条三項の如き規定がないから右罪の成立には一八歳未満のものであることの認識もしくは未必の認識を要し、年齢の認識に過失のある場合はこれを処罰し得ないものと解するのが相当である。すなわち、児童福祉法六〇条三項は処罰の対象を「児童を使用する者」に限定しており、これ以外の者については年齢の認識に過失があつてもこれを処罰し得ないことは同条項の解釈上当然であつて、同条項はまさに刑法三八条一項但書という「特別の規定」と解すべく、これを単なる注意的規定と解する検察官の見解には到底賛同し難く、児童福祉法三四条一項と同種類似の禁止規定である労働基準法六三条二項の違反行為についてのみかかる特別規定をまたず、年齢の認識に過失のある場合をも当然処罰するとなす合理的理由はなく、また、かかる過失の処罰規定を他の犯罪に類推適用することについては罪刑法定主義の見地上、消極に解さざるを得ない。 |