ID番号 | : | 10086 |
事件名 | : | 地方公務員法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | 佐教組事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 地公法違反の争議行為をあおったことが、同法六一条四号にあたるとして起訴された事案において一斉休暇闘争と年次有給休暇の関係について判断された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法39条 地方公務員法61条4号 |
体系項目 | : | 年休(刑事) / 年休の付与 |
裁判年月日 | : | 1962年8月27日 |
裁判所名 | : | 佐賀地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和32年 (わ) 210 |
裁判結果 | : | 無罪(控訴) |
出典 | : | 下級刑集4巻7・8合併号713頁/時報310号6頁/教職員人事判例3号271頁 |
審級関係 | : | 上告審/最高三小/昭46. 3.23/昭和43年(あ)320号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔年休-年休の付与〕 地方公務員法第三十七条第一項前段に規定する「同盟罷業」も労働法一般に使用されている「同盟罷業」と同一の概念であつて、労働組合その他の労働者の団体が自己の主張を貫徹するために、業務の正常な運営を阻害することを意図し、少くとも正常な運営を阻害することを知りながら、労働組合その他の労働者の団体の統制のもとに、その所属員が集団的に労働力を引きあげ、結果として使用者の業務の正常な運営を阻害することであるから、使用者の労働力に対する管理支配を団結の力で一時的に排除することを本質とする。したがって、同盟罷業と休暇とは本質上相容れない性質のものといわなければならない。そこで有給休暇届を提出して就業しないという形式をとつたとしても、その手段の実体が右に述べたような同盟罷業であると評価されるときは、労働基準法上正当な有給休暇としての取り扱いを受けることはできない。そして、このことは年次有給休暇請求権が形成権であるか、使用者の承認を要求する請求権であるかによつてその結論を異にするものではない。そうでなければ、実体において同盟罷業の要件を備えながら、有給休暇なるが故に使用者に賃金支払の義務を課することになつて明らかに不合理である。したがつて、労働組合その他の団体が自己の主張を貫徹するために、業務の正常な運営を阻害することを意図し、少くとも認識しながら、労働組合等の統制のもとに、その所属員が集団的に有給休暇届を提出し、使用者がこれを承認しないのにかかわらず、就労せず業務の正常な運営を阻害する場合には実態において同盟罷業と評価されるから、仮に事業の正常な運営を妨げないときであつても正当な有給休暇として取扱うことはできない。もつとも、使用者が右有給休暇の請求を明示的に又は黙示的に承認したときは、仮に業務の正常な運営が阻害されるとしても、使用者の労働力に対する管理支配を排除したことにならないから、同盟罷業ということはできず、正当な有給休暇として取り扱うべきである。 |