ID番号 | : | 10100 |
事件名 | : | 労働基準法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | 小島撚糸事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 法定の除外事由がないのに時間外および休日労働をさせ、これに対する割増賃金を支払わないことが、労基法三七条に違反するとして起訴された事案につき、無罪とした原審を破棄・差し戻した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法37条 労働基準法119条1号 |
体系項目 | : | 賃金(刑事) / 割増賃金の不払い |
裁判年月日 | : | 1960年7月14日 |
裁判所名 | : | 最高一小 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和33年 (あ) 1135 |
裁判結果 | : | 破棄(差戻) |
出典 | : | 刑集14巻9号1139頁/時報230号6頁/裁判所時報310号9頁/裁判集刑134号433頁 |
審級関係 | : | 一審/名古屋地/ . ./不明 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-割増賃金の不払い〕 さて、法三三条または三六条所定の条件を充足した時間外労働ないしは休日労働に対して、使用者が割増賃金支払の義務あることは法三七条一項の明定するところであるが、右条件を充足していない違法な時間外労働等の場合はどうであろうか。法はこの点明示するところがないが、適法な時間外労働等について割増金支払義務があるならば、違法な時間外労働等の場合には一層強い理由でその支払義務あるものと解すべきは事理の当然とすべきであるから法三七条一項は右の条件が充足された場合たると否とにかかわらず、時間外労働等に対し割増賃金支払義務を認めた趣意と解するを相当とする。果して、そうだとすれば、右割増賃金の支払義務の履行を確保しようとする法一一九条一号の罰則は時間外労働等が適法たると違法たるとを問わず、適用あるものと解すべきは条理上当然である。さすれば被告人は右罰則の適用を免れない筋合であり、従つて原判決が前示認定事実について被告人に対し無罪を言い渡したのは違法であり、論旨は理由あるに帰する。そして事案は、本件公訴事実中原判決が有罪とした第一審判決の判示第一の事実と併合罪の関係ありとして起訴されたものにかかるものであるから、右の違法は、原判決の全部に影響を及ぼすことも明らかである。 |