ID番号 | : | 10117 |
事件名 | : | 労働基準法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | 阪本紡績事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 女子の深夜労働違反として起訴された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法61条 労働基準法64条の3第1項 労働基準法119条1号 |
体系項目 | : | 年少者(刑事) / 未成年者の深夜労働 女性労働者(刑事) / 深夜労働 |
裁判年月日 | : | 1959年7月6日 |
裁判所名 | : | 大阪高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和34年 (う) 370 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労基判集2号950頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔年少者-未成年者の深夜労働〕 〔女性労働者-深夜労働〕 しかし、或る行為が労働基準法違反を構成する以上、仮に労働基準局又は労働基準監督署当局がその取締をしない旨の方針を事前に行為者に発表したとしても、それがためにその犯罪の成立を阻却するものではないと解すべきところ、(大審院昭和一四年一二月一五日判決参考)原審証人A、同Bの各供述によると、当時岸和田労働基準監督署長であつたA証人が主催者となつて、昭和三十二年三月十四日岸和田市労働セットルメントにおいて、管内綿スフ紡績業者に対する労働基準法の説明会を開催し、その席上大阪労働基準局次長Cは女子及び年少者に対する深夜業の違反が多いから取締をするが、当分の間取締、検挙の重点を午前零時から午前四時までの女子及び年少者に対する深夜業違反に置く旨労働基準局の監督方針を示したことが認められる。そして、右監督方針の表示が、反面午後十時三十分から午後十二時まで及び午前四時から午前五時までの女子及び年少者に対する深夜業の違反はこれを大目に見て検挙しない方針の暗示であると解し得ることは所論指摘のとおりであるが、更に進んで右時間内の深夜業が法規上も許され違反にならないという意味までも示したものであると解される可能性は全くないばかりでなく、被告人らは監督官庁が取締の重点から除外した午後十時三十分から午後十二時まで及び午前四時から午前五時までの間の成年女子の深夜業のみをしたのではなく、監督官庁が取締の重点とした午前零時から午前四時までの間の深夜業違反をなすとともに、これに接続して重点外の深夜業違反をも併せ犯したのであるから、被告人らに対する原判示事実中、午前零時から午前四時までの間以外の深夜就労の部分については違法性がないとか、被告人らに違反しないことを期待し得ないとかの理由によつて犯罪が成立しないとなす所論は採用することができない。 |