ID番号 | : | 10126 |
事件名 | : | 労働基準法違反被告事件/職業安定法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | |
争点 | : | |
事案概要 | : | 業として、同一の婦女を公衆衛生または公衆道徳上有害な売淫婦の業に就かせる目的で婦女に売淫させることを業としている者に接客婦として就業を斡旋し、雇主から紹介手数料として金員を受領し利益を得たときは、一個の行為にして労基法一一八条(六条違反)の罪と職業安定法六三条二号の罪との二個の罪名に触れるとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法6条 労働基準法118条 |
体系項目 | : | 労基法総則(刑事) / 中間搾取 |
裁判年月日 | : | 1958年5月6日 |
裁判所名 | : | 最高三小 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和30年 (あ) 3483 |
裁判結果 | : | 一部破棄(自判)・棄却 |
出典 | : | 刑集12巻7号1297頁/新聞94号14頁/裁判集刑125号177頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法総則-中間搾取〕 原判示第一、第二の各所為はいずれも、被告人が法定の除外事由なくして、業として同一の婦女を、公衆衛生又は公衆道徳上有害な売淫婦の業に就かせる目的で、婦女に売淫をさせることを業としている者に、接客婦として就業を幹旋し、雇主から紹介手数料として金員を受領し利益を得たというのである。従つてそれが労基法六条、一一八条及び職安法六三条二号に該当することは明白であるが、その所為は、これを社会的事実として観察するときは、一個の行為と認められるのであつて、刑法五四条一項前段の解釈としても、一個の行為にして労基法違反と職安法違反との二個の罪名に触れる場合に当るものと認めるのが相当である。次に記録によれば、被告人は第一審判決判示の如く、昭和二八年一一月三〇日発布同年一二月二二日確定の略式命令により職安法六三条二号の罪につき有罪として処断されたのであるが、その略式命令認定の所為中(一)及び(三)の所為については、その都度紹介手数料として金員を受領し利得をしたものであり、かつその所為を反覆継続の意思を以て業としたものと認められるから、その所為は、原判示第一及び第二の所為について先に説明したと同じ理由によつて、一個の行為であつて同時に職安法六三条二号の罪と労基法六条、一一八条の罪とに該当するものと認めるのが相当である。そうして右の労基法違反の罪と原判示第一及び第二の労基法違反の罪とは一個の集合犯(営業犯)として単一の犯罪を構成するものと認められるから、この一個の労基法違反の罪を媒介として前記略式命令認定の(一)及び(三)の職安法違反の罪と原判示第一、第二の各職安法違反の罪ともまた一罪の関係に立ち、従つて右略式命令の既判力は原判示第一、第二の事実全部に及ぶものといわなければならない。 |