全 情 報

ID番号 10166
事件名 労働基準法違反業務上過失致死傷被告事件
いわゆる事件名 鉄道塗装工業事件
争点
事案概要  高さ五メートル以上の国鉄鉄橋上における女子労務者の作業は女子年少者労働基準規則(昭和二二年労働省令第八号)第一三条第四〇号第一四条第一〇号の業務にあたるか否かが争われた事例。
参照法条 労働基準法62条1項(旧63条1項)
体系項目 女性労働者(刑事) / 女性の危険有害業務 / 女性一般
裁判年月日 1955年12月19日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和28年 (う) 783 
裁判結果 一部破棄,有罪(禁錮五か月)・一部棄却
出典 高裁刑集8巻10号1230頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔女性労働者-女性の危険有害業務-女性一般〕
 先ず右規則第十三条第四十号の意義について考えてみると、同条に「吊足場」若くは「棒はり」とは、共に労務者が高所において建築、土木、塗装等の作業をする場合その作業を容易ならしめる目的で設けられた足場の一種であると解せられるのであつて、その内「吊足場」とは、高所から所要の下部まで鋼索等で作業床(すなわち、足場板)を懸垂し、この作業床に労務者が乗つて作業をする設備であつて、高所から作業床を懸垂しているためその足場に安定性がなく、動揺転位による墜落又は懸垂用鋼索の強度如何による切断墜落の危険のあるものを云い(昭和二二年労働安全衛生規則第百八条、第百十条、第百十二条等参照)、又「棒はり」とは、普通の丸太足場すなわち、地上より必要の高度まで丸太材を順次組立て、これに水平に丸太数本を組合せて足場とする作業床を設け、これに労務者が地上から昇つて作業をする設備であつて、極めて足元の安定性を欠く墜落の危険の多いものを云うものと解せられるのである。