ID番号 | : | 10169 |
事件名 | : | 職業安定法、労働基準法各違反事件 |
いわゆる事件名 | : | 名古屋造船事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 年少者の時間外労働時間、深夜労働につき、法定の除外事由がないにもかかわらず労働させたとして、罰金弐万円が科された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法6条 労働基準法61条1項 労働基準法118条 労働基準法119条1号 |
体系項目 | : | 労基法総則(刑事) / 中間搾取 年少者(刑事) / 未成年者の時間外労働 |
裁判年月日 | : | 1955年12月27日 |
裁判所名 | : | 名古屋高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和27年 (う) 1379 昭和27年 (う) 1380 昭和27年 (う) 1381 昭和27年 (う) 1382 |
裁判結果 | : | 棄却・有罪(罰金10,000円) |
出典 | : | 高裁刑特報3巻4号111頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔年少者-未成年者の時間外労働〕 被告人は名古屋市北区(略)に工場を有し従業員百三十名位を使用して毛織物製造の事業を営むA株式会社の取締役で会社の為めに従業員の雇傭就労、賃金等の事項を管理監督する使用者であるが法定の除外事由がないのにかかわらず 第一 満十五歳以上で満十八歳未満の者の労働時間は一週間の労働時間が四十八時間を超えない限り一週間のうち一日の労働時間を四時間以内に短縮する場合において他の日の労働時間を八時間を十時間まで延長することができるのであるが、昭和三十年八月四日から同月二十日までの間右会社工場において満十五歳以上満十八歳に満たない女工B外九名を別紙労働時間表のように一日の労働時間を四時間以内に短縮することなくしかも一日につき十時間を三十分乃至九時間位を超え更に一週間四十八時間を四時間三十分乃至四十四時間を超えて労働させ 第二 満十八歳未満の者を午後十時以後午前五時まで交替制によつても午後十時三十分以後は労働させてはならないのにかかわらず前記期間中右同所において満十八歳未満のB外二名を別紙労働時間表のとおり午後十時三十分から午前五時までの間夫々一時間三十分乃至三時間位を労働させたものである。 〔労基法総則-中間搾取〕 控訴趣旨は、職業安定所の指示により直傭の形式に切換えたが、その実質は職業安定法施行規則第四条第一項各号の要件を充たす請負事業であり、架空労働者の賃金として得た利益は正当な請負代金であるというが、実質においても請負事業とは認められず、被告人の得た利益は業として他人の就業に介入して得た利益であると認めざるを得ない。 (中略) 然し被告人等が原判示の通り夫々職業安定法にいわゆる労働者供給事業を行い他人の就業に介入して利益を得ていたものであることは原判決挙示の各関係証拠を綜合すれば優に認定し得るところで、所論引用の証拠は勿論、記録並に原審取調の爾余の各証拠を斟酌検討するも、所論の如く原審が法律の解釈適用を誤り事実を誤認したと認むべきところはない。即ち、弁護人は被告人等がC株式会社との間に、被告人等使用の労働者を会社の直傭労働者に改める以前に於ける会社との間の各自の請負契約は職業安定法施行後もその適法有効な契約として存続し得たものであるというのをその所論全般に亘る論拠とするものであるが、職業安定法第四十四条に労働者供給事業の禁止を規定し、更に同法施行規則第四条に於いて請負契約の形式をとつているものであつても、同規則第一項各号の要件を併せ具備する場合でなければ、これを労働者供給事業を行うものと認めるとしているのは、これによつて使用者と労働者との中間に立つて賃金その他労働者の受ける利益の一部をはねることを仕事としているものを出来得る限り排斥して、使用者と労働者との間に近代的労働関係を打ち立てようと意図したものであることは明白である。 |