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ID番号 : 10170
事件名 :
いわゆる事件名 : 新世界事件
争点 :
事案概要 :  接客婦として働いていた二人の女性が店を逃げ出したのに対して「何故無断で逃げた」などと問い手の甲にタバコの火を押しあて畏怖させて引続きA(特殊飲食店)で稼働させたことが強制労働にあたるか否かが争われた事例。
参照法条 : 労働基準法5条
労働基準法117条
体系項目 : 労基法総則(刑事) / 強制労働
罰則(刑事) / 罪数
裁判年月日 : 1954年3月4日
裁判所名 : 福島地
裁判形式 : 判決
事件番号 :
裁判結果 :
出典 :
審級関係 :
評釈論文 :
判決理由 : 〔労基法総則-強制労働〕
 被告人は肩書住居において内縁の妻B名義で「A」の屋号をもつて特殊飲食店を経営し昭和二十八年三月頃よりCことDを、同年四月頃よりEをいずれも雇い入れて接客婦として就業させていたが、同年六月二十九日午後八時頃右両女が同店で引続き稼働することを嫌い他店で働く考えから被告人に無断で同店をぬけ出し福島県田村郡三春町のカフエー「F」に行つたことに憤概し、同夜G、HことIと共に右「F」に赴き両女を自動車に乗せて肩書住居に連れ戻し、Gと共謀の上翌六月三十日午前零時三十分頃から午前二時頃迄の間引き続き同家表茶の間に続く次の間等において両女に対し「何故無断で逃げたか承知しないぞ」、「誰が逃げ出そうと云い出したか」、「本当の事を云え」等の旨申向け暗に両女の身体等に害を加えるかも知れない気勢を示して両女を脅迫しその頭部等を手で数回殴打した他Gにおいて右Dの左手甲部、Eの右手甲部にいずれも煙草の火を押しあて更に「お前等を探すために一万五千円の費用がかかつたから一人七千五百円づつ支払え」と申向け、両女を畏怖させた上該当金を前借金とし、各自これを返済する迄同店で接客婦として就業することを承諾させ、同日から被告人が右前借金の申込を取消す意思表示をした。同年七月中旬頃迄引続き被告人方で稼働させ以つて両女に対し暴行脅迫によつてその意思に反し労働を強制したものである。
〔罰則-罪数〕
 法律に照らすと被告人の判示所為〈日時被害者を異にする加害〉は各労働基準法第五条第百十七条に該当するが右は一個の行為で数個の罪名に触れる場合であるから刑法第五十四条第一項前段第十条を適用し、犯情の重いと認めるDに対する罪の刑に従い所定刑中懲役刑を選択してその刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処す。