全 情 報

ID番号 10173
事件名
いわゆる事件名 丸木製糸事件
争点
事案概要  頭痛のため就寝中の労働者のフトンをはぎとって離床させ大声で怒鳴りつけ、あるいは腕をまくって今にも殴りかかるような態度を示して就労させたことが強制労働にあたるか否かが争われた事例。
参照法条 労働基準法5条
労働基準法117条
体系項目 労基法総則(刑事) / 強制労働
裁判年月日 1954年9月30日
裁判所名 水戸地
裁判形式 判決
事件番号
裁判結果
出典
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労基法総則-強制労働〕
 (二) 同年五月五日頃同工場に繰糸工として勤務していた労働者A(当時十九年)が早朝から頭痛のため同工場女子寮第十五号室で就寝していたところ被告人Y1は同日午前九時過頃同室にいたり頭が痛いから休ませてくれという同女の願をきかないで頭なんか痛くないだろう、どうしても仕事に出ないのかといつて就寝中の同女の布団を剥ぎ取つて無理矢理同女を離床させた上同日午前十時頃から同日午後五時頃まで同工場繰糸場において強いて就労させ、もつて暴行により同女の意思に反して労働を強制し、……
 三 (一) 昭和二十七年四月下旬頃の午後五時頃同会社に養成工として勤務していた労働者B(当時十五年)及びC(当時十五年)が同工場工務室において右両名の実家からとどいた手紙を持参して被告人Y2の許にいたり家から暇を貰つて帰つてくるよう手紙がきたから辞めさせてくれと申しでるや、同被告人はそんなものはみなくてもいい、未だ日にちもたつていないのに辞めるなんてもつてのほかだ、馬鹿野郎、この工場をなめるな、九年間も学校で何をしてきたんだ、お前達のような者がいるからこの工場はやつていけない等と大声で怒鳴りつけ、あるいは腕をまくつて今にも殴りかかるような態度を示して退職を拒否した上右Bに対しては同年五月二十七日頃まで、右Cに対しては同月七日頃までそれぞれ引き続き同会社において強いて就労させ、もつて脅迫あるいは精神及び身体の自由を不当に拘束して同女等の意思に反して労働を強制したものである。これは労基法五条に違反する。