ID番号 | : | 10191 |
事件名 | : | 職業安定法違反、労働基準法違反 |
いわゆる事件名 | : | |
争点 | : | |
事案概要 | : | 料理店待合等における「酌婦」の紹介が職安法三二条違反、労基法六条違反にあたるか否かが争われた事例(肯定)。 |
参照法条 | : | 労働基準法6条 労働基準法118条1項 |
体系項目 | : | 労基法総則(刑事) / 中間搾取 |
裁判年月日 | : | 1952年9月10日 |
裁判所名 | : | 広島高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和27年 (う) 459 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 高裁刑特報20号105頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法総則-中間搾取〕 第一、二点(事実誤認及び法令適用の誤)について。 酌婦としていわゆる醜業を営ませるために婦女を雇傭すること即ち婦女に売淫をさせることを内容とする契約は今日国法の禁ずるところであることは所論のとおりである。しかし今日の営業許可を受けた料理店、待合等は客の集会、飲食、娯楽のため場所又は設備その他のサービスを提供する営業を指すのであつて決して売淫行為を目的とするものでないことは勿論である。従つて右の営業に従事する酌婦なるものも亦正当の業務であり、該営業に従事させるための就業契約は単なる寄宿又は間借契約ではなくて雇用契約であつて職業安定法又は労働基準法の対象となりその保護を受けるものといわねばならない(事実上これらの従業者が接客の機会を利用して売淫行為をすることがあるとしても右はその者の任意の意思に基いて行われるに過ぎないのであるから前記就業契約の趣旨とは区別されねばならないものである)そして原判決によれば、被告人は業として判示の如く三回に亙りAを判示待合業者であるB外二名方にそれぞれ酌婦として就業させる契約をし、同人等より仲介手数料として判示金員を取得したというのであり、右事実はその挙示する証拠によつて十分これを認定し得るところであり、記録に現われた諸般の証拠によるも右事実の誤認は認められないから、これに対し原判決が判示法条を適用処断したのは相当であつて原判決には所論のような事実誤認ないし法令適用の誤は存しない。 |