全 情 報

ID番号 10192
事件名
いわゆる事件名 菅原組事件
争点
事案概要  飯場を無断で逃げ出した労働者が再び戻ったところ「黙って出て行かれては世間体が悪い」などと言って働かせたことが強制労働にあたるか否かが争われた事例。
参照法条 労働基準法5条
労働基準法117条
体系項目 労基法総則(刑事) / 強制労働
裁判年月日 1952年10月21日
裁判所名 静岡地沼津支
裁判形式 判決
事件番号
裁判結果
出典
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労基法総則-強制労働〕
 第二、右Aはその後嫌々ながらも同飯場で働いていたが、相変らず待遇は悪く賃金の支払も十分ではなく然も遅れ勝ちであつたので将来への希望を失い、どうしても同飯場を出たいと思つていたが、暇を呉れと言えば叱責され又どんな暴行を受けるかも知れないので悶々の裡に日を送つていたが遂に意を決し、昭和二十六年四月四日頃該飯場を無断で逃げ出し、田方郡西浦村(略)B方に身を寄せ同家の農業の手伝い等をしていたが食糧事情のため転出証明書がなければ同家に長く居ることが出来なかつたので大仁町役場に転出証明の請求をしたことから同人の住所が知れ、同年五月上旬頃被告人が右B方を尋ねて来たので既に住所が判明したからには前回のこともあり飯場に帰らないとどんなことをされるかも知れないし又B方にも迷惑の及ぶことも考え、その翌日前記飯場に再び帰つたところ、同人に対し「黙つて出て行かれては世間体も悪い」「行くなら行くと断つて行け」「体が悪いなら俺の所で事務でもやれ」等と申し向け同人の意思に従わないときは如何なることをされるかも知れないと畏怖させて精神的圧迫を加え、同人の意思に反して翌日より同年六月末日頃迄大仁町C小学校新築工事の基礎工事等の労働を強制したものである。