ID番号 | : | 10196 |
事件名 | : | |
いわゆる事件名 | : | 極東機械製作所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 経営不振におちいっていることが、解雇予告の除外事由である労基法二〇条一項但書の「やむを得ない事由」にあたるか否かが争われた事例(否定)。; 就業時間中の焚火等が、解雇予告除外事由である労基法二〇条一項但書の「労働者の責に帰すべき事由」にあたるか否かが争われた事例(否定)。 |
参照法条 | : | 労働基準法20条 労働基準法119条1項 |
体系項目 | : | 解雇(刑事) / 解雇予告と除外認定 |
裁判年月日 | : | 1951年2月28日 |
裁判所名 | : | 広島地福山支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | |
裁判結果 | : | |
出典 | : | |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇予告と除外認定〕 当時従業員は怠業状態にあり、一部従業員は工場の物品を窃取する等の事由もあつたと弁疏する点については、その弁疏するように、従業員の一部が就業時間中に焚火などして怠業していたことは認められるが、証人A、同Bの各供述によると、右怠業行為は賃金不払に起因することが容易に認められるので、使用者側が自己の賃金支払を履行せずにおいて、従業員の右怠業行為をとらえ前記但書に所謂「労働者の責に帰すべき事由」があると主張するが如きは明らかに理由なき弁解であり、また従業員中工場の物品を窃取した者があると主張するもかかる事実を認むべき証拠は何もないから、結局「労働者の責に帰すべき事由」を前提とする弁疏も亦採用することができない。 (中略) 次に右製作所には労働基準法第二十条第一項但書に該当する事由があつたか否かの点を考えるに、右弁疏の如く当時製作所は経営不振で昭和二十四年十月分以降従業員に給料も支払えず、又税務署よりの税金不払のためその機械の一部を差押せられるなどその経済状態が逼迫していたことは認められるけれども証人C、同D、同E、同A、同F等の各供述に徴しても明瞭な如く、そのように経済状態が悪化して事業を破綻に導くに至つたのは要するに経営者側の不手際な営業方針のため発註品がなくなつたことと、売掛金の徴収難のため金融難に陥つたことにその原因があるものと認められるから、未だかかる事由のみでは同条第一項但書に所謂「やむを得ない事由」とはならないものというべきである。蓋し、経営主は、本来その企業の経営によつて生ずる利潤と同時に危険の責任を負担すべきであり、しかも本件の場合の如きは少くとも経営者側の自ら責を負うべきその不手際な営業方針に半分の原因があつたのであるから、かかる事情の下では労働者の解雇に際して三十日の予告をも不必要とせざるまでの事由があるとは到底認められないからである。 |