ID番号 | : | 10202 |
事件名 | : | 労働基準法違反事件 |
いわゆる事件名 | : | 本田式織機製作所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労基法二〇条違反につき、本件雇傭契約の終了が解雇か否かが争われた事例(否定)。 |
参照法条 | : | 労働基準法20条 |
体系項目 | : | 解雇(刑事) / 解雇予告と除外認定 |
裁判年月日 | : | 1951年4月16日 |
裁判所名 | : | 名古屋高金沢支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和25年 (う) 617 昭和25年 (う) 618 昭和25年 (う) 619 |
裁判結果 | : | 破棄差戻 |
出典 | : | 高裁刑特報30号47頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇予告と除外認定〕 思うに、労働基準法第二十条本文は「使用者は労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない」と規定しており、同条の法意は雇傭契約上使用者の有する解雇権の行使により労働者が直面する生活上及び就職上の困難を緩和する為め右解雇権の抜き打的な行使を制限し少くとも三十日前の予告を要することにし、右予告期間を置かない即時解雇には同期間に代る所定の平均賃金支払を命じ、もつて使用者の自己本位な権利の行使から労働者を可及的に保護しようとするにあることが明かであるから右規定の適用あるが為には使用者側の都合による解雇権の一方的な行使が其の前提にならなければならないと思われる。このことは同条但書が、天災、事変、その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においてはこの限りでない、と規定している趣旨から云つても理解せられるところである。故に労働者が其の希望により任意退職する場合は勿論のこと、使用者の事業の前途に見切りをつけた労働者側がその構成する労働組合の有する団体交渉により使用者側と接渉して退職金を協約して合意上雇傭契約を解除する場合には、たとい其の協定にかかる退職金の名目を労働基準法第二十条による平均賃金の支払に藉るとしても同協約金を支払わない使用者の行為が同条違反をもつて問擬される筋合ではない。蓋し、右の場合は同条所定の使用者の解雇には当らないからである。 |