ID番号 | : | 10213 |
事件名 | : | 労働基準法違反事件 |
いわゆる事件名 | : | 都酒造事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労基法二四条違反(賃金不払)と罪数の関係が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法24条 |
体系項目 | : | 賃金(刑事) / 賃金の支払い方法 / 罪数 |
裁判年月日 | : | 1951年9月28日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和25年 (う) 3475 |
裁判結果 | : | 破棄自判 |
出典 | : | 高裁刑特報24号90頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-賃金の支払い方法-罪数〕 然し乍ら労働基準法第二十四条第一項第二項によれば、賃金は原則として通貨で直接個々の労働者に毎月一回以上一定の期日を定めて支払わなければならないのであるから、これに違反して賃金の支払を怠つた場合を罰する同法第百二十条第一号の罪は、賃金の支払期日毎に賃金の支払を受くべき労働者の数に応じて各労働者一人毎に独立して成立するものと解すべきであつて、各労働者の数と支払期数に相当する数の併合罪として処断するのを相当とする。蓋し元来労働基準法が罰則を設けて労働賃金の不払を処断する所以は、各労働者個人の生活権を保護する趣旨換言すれば労働者は概ねその日その日を労働賃金によりてのみ生活して居る者であるからこれが不払によりその生活不能に陥ることのないようにこれを保護しようとする趣旨に外ならないからである。然るに原判決が、判示の如く右と反対の見解に立ち労働基準法第二十四条の違反による同法第百二十条第一号の罪を以て職員工員を通じて各支払期日毎に包括の一罪を構成するものと認定する旨説示したのは正しく同法の解釈を誤つたものであつて此の誤りは本判決に影響を及ぼすこと明白であつて、論旨はその理由があり原判決は到底破棄を免れない。 |