ID番号 | : | 10217 |
事件名 | : | 労働基準法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | 三共製薬事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労基法一二一条一項本文にいわゆる「事業主のために行為した代理人」中に法人の代表者が含まれるか否かが争われた事例(肯定)。 |
参照法条 | : | 労働基準法121条1項 |
体系項目 | : | 罰則(刑事) / 両罰規定 |
裁判年月日 | : | 1951年11月5日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和26年 (う) 216 |
裁判結果 | : | 破棄自判・有罪(罰金10,000円) |
出典 | : | 高裁刑集4巻13号1867頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔罰則-両罰規定〕 労働基準法第一二一条第一項本文に所謂事業主のために行為した代理人中には法人の代表者をも含むものと解するを相当とする。蓋し同条項に所請事業主中には法人を含むことは同条但書によつて明白であり、純粋な代理人、使用人その他の従業員が行為した場合に事業主に対して罰金を科するのに、純粋な代理人よりも更に会社に密接している代表者が行為した場合に事業主を罰しないのは同条に現れた労働基準法の精神に反するからである。同条項但し書が法人の代表者に違反の防止措置を認めているのは代表者以外の者に違反行為のあつたことを前提とするものと解するを相当とし、代表者に違反行為があつた場合には、その違反の防止措置は事実上考えられないから、かかる場合は法が当然予想していないと解すべきである。自己の違反行為を防止するのは矛盾であるという単なる論理的帰結から推して、法人の代表者の違反行為を罰すべき前示法理上の根拠を否定するのは当らない。同条第二項は広く事業主が行為者として罰せられる場合を規定したものであるから、法人の代表者に同条項所定の行為があれば、矢張り直接の行為者として罰せられるのは当然であり、そのために事業主たる法人の代表者に当然当該事業の労働者に関する事項について同法第二十四条其の他に違反する行為があつた場合を罰すべき理由は毫も解消せらるべきものではない。原判決の擬律は正当である。論旨は理由がない。 |